表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パートナーは誰ですか??  作者: 海歌月
迷い込んだのはアイドルの世界
3/19

3.新しい出会い

 わたしは、ふわふわした感覚を味わっていた。


 あれはいったい何だったのだろうか……


 水の中にいるような浮遊感、水面が広がるように吸い込まれる感覚……

 そして、気づいたらステージの上に立っていた……


「夢みたい……」


 ステージに立ってすぐ、わたしは歌った。

 でも、ドキドキしてたせいで記憶がほとんどない。


「楽しかったな……」


 夢なのかもしれない。目が覚めればきっと普通の高校生活が待っていて、いつも通り勉強して…

 そんな風に考えてみるが、手に持っている書類が正解なのだと思い出した。


《所属契約書》


 ……そう、わたしは合格したのだった。

 アイドルとして、事務所Floriaに正式所属が決定したのだった。


 アイドルとして活動を始めるまでにいくつかのイベントがあった。

 バーチャルシステムの利用方法、注意事項の説明、登録……同期のアイドルとの懇親会もあった。


 バーチャルシステムでは、基本個人情報を出さないため、ニックネームのような……活動名を決める必要があった。わたしの登録した名前は『Ria』。何も思いつかなかったので、藍梨あいりを逆から読んでRiaリアにした。


「私はAnnetteアネット。よろしくね。」

「Riaです。」


 懇親会には同じタイミングで合格したアイドルがたくさんいた。女性だけでなく男性もいて、みんなキラキラしていた。

 ……そんな中で、一人だけオーラの違うアイドルがいた。ウェーブヘアはふわふわと揺れ、大人っぽい。誰かと一緒にいるわけではなく、自ら一人でいることを選んでいるようだった。


「……?あれ、誰だろう?」

「……どの方?」

「ん?誰か気になる人でもいるのかい?」

「あの……ウェーブヘアの。」

「ああ、あれは『Usagiウサギ』さんだ。歌唱は満点。先輩たちからもユニット組んでほしいって言われている人だよ。で、ちょっと怖いよね。」

「確かに、強そうですね。んー……ちょっと怖いかも?」

「怖い?」


 わたしには怖いという感情よりも、気になる、話してみたいという感情の方が強かった。丁度いいタイミングで声をかけてみることにした。


「あの。」

「……あら?」

「初めまして、Riaというものです。」

「こんにちは。何かご用?」

「特に重要なことではないのですが……あなたと歌ってみたくて。」

「……そう。でも、ごめんなさいね。私は誰ともユニットを組む気はないの。」

「……そうでしたか。」


 どんな歌声なのか、自分の実力も兼ねて知りたかったな……

 ちょっと落ち込みながらその場を去ろうとした時、Usagiが口を開いた。


「ねえ、あなたの歌声聞かせてよ。」

「……え?」

「私に声をかけてきたってことは、あなた歌に自信があるんでしょう?……なら。」

「なら?」

「私たちが初めに応募できる、新人オーディション、知っているわよね?」

「はい。」

「それで、優勝してみてよ。」

「……え?」


 優勝……?


「優勝できたら、あなたと歌いたいかも。」

「……。」

「あら、できない?」

「えっ?あ……できます!」


 わたしは、勢いで変なことを言ってしまった。……気づいてからでは遅かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ