18.気持ちの整理
それからわたしたちは、少しの間だけステージに立つことをやめることにした。
簡単に言えば、活動の一時休止というやつだ。
……きっとわたしがもっと早く気持ちを伝えられていれば、こんなことにはならなかった。
「……はぁ。」
「まぁ、暗いお顔ですね。」
「ほんとだねぇ。Riaちゃん、大丈夫?」
「ごめん、こんな顔しかできなくて……」
「Usagiさんとのステージを休止だなんて。あなたはUsagiさん一筋で、一番ファンなのにね。」
「うぅ……」
レッスンはあっても一緒にステージに立つ機会が無くなってしまった今、わたしは『théière』の2人に相談をしていた。
「整理しましょうか。まず、RiaとUsagiさんはお互いに現実での姿を見たと。」
「うん。」
「……で、それが想像とはかなり違う人で、しかも顔馴染みの知り合いだったと。」
「うん。」
「Usagiさんは、お互いの正体を見てRiaが失望したと思ってる。……実際は?」
「してない!」
「ふふっ、そうね。」
わたしの素直な声を聞くと、Annetteは笑った。
「なら、ちゃんと言わなきゃね。」
「うん……」
「Usagiさんは元々、自信がない。なら、ちゃんと言わなきゃ。あなたのことが好きだって。」
「……それ、告白じゃんか。」
「実際、現実だ誰であってもUsagiさんのことは好きでしょう?」
「うん。」
「その人に告白するんじゃないの。あなたが気持ちを伝えるのは、Usagiさん。」
「……。」
「あ、別にその人に告白してもいいのよ?」
「ねぇ、Riaちゃん。」
「……なぁに?」
「あたしたちはUsagiさんの正体が誰かは知らない。知っているのはRiaちゃんだけでしょ?」
「うん。」
「きっとUsagiさんにとっても、Riaちゃんって特別なんだと思う。Riaちゃんはどう?」
「……Usagiは、わたしの憧れで、どんな姿でも関係ない。特別……かはわからないけど、でもわたしは続けられる限り、ずっとユニットを組んでいたい。」
「なら、言ってあげて。」
「でも、それでも……ダメだったら……」
「言わない後悔より、言って後悔!あたしもそうだったでしょ?」
「……うん。」
「ちゃんと、伝えられるといいね。」
2人と話した翌日、わたしは先生と話すために放課後の職員室へ向かった。
「言わない後悔より、言って後悔。」
扉をノックして職員室へ入り、宿題を提出してから本題を出した。
「……先生。先日の件について、気持ちがまとまったので、話に来ました。」
「わかった、じゃあ……少し場所を変えようか。面談室を用意してくるから少し待ってて。」
「はい。」
ちゃんと伝えよう。
わたしの気持ち。