表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パートナーは誰ですか??  作者: 海歌月
迷い込んだのはアイドルの世界
17/20

17.伝えたいのに……

 現実の姿……河内藍梨に戻って、Usagiが通ったであろう道の方を向いた。


 「改めまして、わたしがRia……」

 「はじめまして、僕がUsagiの……」


 姿を見た瞬間、目が合った瞬間、わたしたちは固まってしまった。


 「か……河内?」

 「せ……先生?」


 わたしの目の前にいるはずのUsagi。いや、現実の姿なのでUsagiの普段の姿なのだが……その正体を見た瞬間、わたしたちは驚きを隠さなかった。


 Usagi、その正体は佐倉先生だった。


 「……あれ?知り合い??」


 固まって声が出ないわたしたちの空気を変えてくれたのは、マネージャーだった。


 「知り合い……っていうか、教え子です。」

 「知り合い……っていうか、先生です。」


 そもそも佐倉先生とは……わたしの数学の担当教師で、あの女子からキャーキャー言われている、佐倉卯月のことだ。

 ファンサービスするほどのノリの良さで、人気の教師のはずだ。……なのに、さっきUsagiの姿では「普段の姿は、あまり好きじゃない」って言っていた。


 ……だめだ、混乱している。


 「Ria、大丈夫?」

 「混乱するよな……」


 でもバーチャルシステムでは、声の高さは変えられても歌唱力を矯正する事ができない。

 ……つまり、わたしの好きな歌声は先生の実力が高いから出せる。


 「ごめん。……失望したよね?」

 「してないです!!ただ、いつもの佐倉先生は、自信がないように見えないから。」

 「確かに。」

 「あの……」

 「……大丈夫だよ。」

 「え?」

 「Riaが……いや、河内が俺とユニット組むのは無理だって思ったら、ちゃんと解消するから。ゆっくり考えて。」


 失望なんてしない。……するわけがない。

 だって、わたしはUsagiのファンだから、一緒に歌いたいって思えた。これからもそれは変わらないのに。


 「……わかりました。」

 「今日は遅いし、送るよ。」

 「……ありがとうございます。」


 解消しません。

 答えは決まっているはずなのに……ハッキリと伝えることができなかった。



 翌日。

 モヤモヤが収まらず、授業も集中できなかった。先生たちも「調子悪い?どうしたの?」と聞いてくるので、誤魔化しておいた。

 ……そして、それを言うのはあの人も同じだった。


 「河内、調子悪い?」

 「え、ええっと……」

 「まあ、原因は俺だよな。」


 佐倉先生は申し訳なさそうな顔をしていた。


 「河内、正直に言ってくれてもいいんだからな。」


 正直に……とはなんだ。

 わたしは、パートナー解消したいわけじゃない。

 だってわたしはUsagiともっと歌いたいんだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ