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パートナーは誰ですか??  作者: 海歌月
迷い込んだのはアイドルの世界
16/20

16.絆を深めたいから

 ユニットを組んで、『ワンダーランド』としてもアイドルとしても成長できている気がした。

 実際にファンは増えたし、観客は満員になるくらいの盛況ぶりだった。


 「今日は来てくれて、ありがとう!」

 「ありがとう!!」


 あれから、わたしはUsagiの本当の姿について聞いていない。見せない理由が、わたしではなくUsagi自身の問題だと聞いて、気にしないように頑張っている。

 わたしが今できるのは、Usagiにもっと信じてもらえるように実力をつけて、ついでに勉強や友人との関係も大事にすることだって思った。


 「ふう……今日も楽しかった!」

 「お客さん、なんだか増えた気がする。」

 「うん!」


 ライブの後も、今まで通り。

 今日もいつものように「おつかれさま」と言って、帰る予定だった。


 「……じゃあ、おつかれさまでした!」

 「あ。」

 「……ん?どうしたのUsagi?」

 「あのさ、私まだRiaに本当の姿……というか、普段の姿見せてないよね?ごめん。」

 「え?……まぁ、はい。」

 「あのね。もし、想像と違ったら……」

 「Usagi。」

 「へ?」

 「わたしは、Usagiがいいです。」

 「で、でも……」

 「わたしは、Usagiがお兄さんでも、おじいちゃんでも、おばあちゃんでも……Usagiがいい。」

 「……そっか。」


 気づいたらUsagiは、少しだけ安心したように笑っていた。


 「……実は私ね、普段の姿があまり好きじゃないっていうか。身長低めだし、歌う声も……周りと何か違ってて。だから、今まで本当の姿見せるのが怖かった。」

 「そうだったんだ。」

 「……でも、やっぱりちゃんと見せないとダメだって思った。私たちがもっと息ぴったりで、感動させるパフォーマンス見せるためには、ちゃんと見せないとって思った。」

 「え、いいの?」

 「……失望しない?」

 「しません!!」

 「そっか。なら、一緒に帰ろ。」


 普段はおつかれさまを言い合って1人で帰る道。……今日は2人で歩いていた。

 ちゃんと見せないと……ということは、今日見せてくれるということなんだ。なら、もう一度挨拶しよう。たとえ想像と違ったとしても、それがUsagiなのは変わらないのだから。


 システムと現実の境目となる道を通って、システムからログアウトする。通路はいくつかあるので、Usagiは隣の通路からログアウトしていた。


 現実の姿……河内藍梨に戻って、Usagiが通ったであろう道の方を向いた。

 わたしが話し始めたのと同時に、低い声が聞こえる。


 「改めまして、わたしがRia……」

 「はじめまして、僕がUsagiの……」


 姿を見た瞬間、目が合った瞬間、わたしたちは固まってしまった。

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