14.おひめさまの登場
「お許しが出た?!」
「はい!!」
「やったぁ!!」
図書館で課題を片付けていたら、茉姫から電話があり、そこで話し合い……という名の直談判が上手くいったと報告された。
……ちなみに電話は休憩スペースでしているのでご心配なく。
「そっか。じゃあ、次会うときはアイドル同士だね。」
「はい!」
通話が終わって、少しだけ伸びをする。
……そっか、茉姫もアイドルになれるんだ。よかった。
「よし、頑張るぞ!」
「……誰かと思ったら、河内か。」
「ふぎゃあぁああ?!」
「わぁあ?!」
「……なんだ、佐倉先生か。」
「いや、“なんだ”じゃないだろ。……ん?なんか嬉しそうだな。」
「はい。趣味を楽しめない状況にあった友人が、やっと楽しめる状況になった……というか、問題が一つ解決したんです。」
「ああ、前言ってたやつか。」
「はい。」
「そっか、よかったな。」
ー・-・-
「か、かわいい……」
「ふっふっふー。改めまして、私のパートナーHimeですわ!」
「改めまして、よろしくねー!Riaちゃん!」
「Himeか……うんうん!なんだか可愛らしいお姫様が増えた!」
「はい!」
これから2人は衣装やユニット名、その他諸々用意するらしい。
ちなみにHimeはデビューステージがまだなので、レッスンも普通より多いらしい。
「……大変だね。」
「ううん。全然平気なんだ。レッスンもとっても楽しいの。」
「モチベーションも上がって、テストも絶好調だったのよ。全部最高得点で……本当に、アイドルパワーすごいわ。」
「そっか、じゃあ楽しみにしてる。」
「楽しみにしててね。」
そこからはあっという間だった。
Himeのデビューステージが終わったと同時に、AnnetteとHimeのユニット結成がされて……ニュース記事の話題にもなるくらい盛り上がっていく。
「Hime、一気にファン増えたね。」
「うん!嬉しいな……でも、まだまだこれからだよね?」
「そうね。さて、最後はユニット名だけど……」
「それならもう決めてるっていうか、これがいいっていうのがあって。」
「ん?なあに?」
「……ティエーレ、『théière』ってどうかな?」
「何の言葉?フランス語のように聞こえるような?」
「ティーポットのフランス語。可愛いなって思っててね。」
「いいじゃない!ティエーレ!」
……そして、やってきたユニットお披露目ステージの日。
RiaとUsagiも、そのステージを見に来た。
「こんにちは!『théière』です!」
「これからよろしくお願いいたします!」
ステージは、すごくよかった。
息ピッタリで、アイドルでもそうじゃなくても、いつも仲良しな2人を見ると、わたしももっとUsagiと仲良くなれたらいいのにと羨ましく思ってしまう。
「……すごい。」
「うん、すごいね。息ピッタリで、負けてられない。」
「はい。」
「……あれ?大丈夫?」
「え?は、はい。大丈夫です。」
「……Usagiは、普段どんな人なんだろう。」
「え?」
「あ、いや。会ったことないから気になったんです。Usagiの普段の姿ってどんな感じなのかなって。あの2人は同じ学校で、親友なんですけど……なんだか、距離が近くて羨ましいなって。」
「……ごめんね。今はまだ、普段の姿では会えない。」
「いいえ!大丈夫。でもいつか、普段の姿で会いたいです。」
「うん。いつか、ね。」
ティエーレの2人を見ながら、なんとなく……Usagiとの距離を感じてしまった。