12.わたしはわたしにできることを
佐倉先生に休んでいいと言われ、家に帰ってから何もせずのんびりと過ごしてみた。
普段は予習や復習のために使う時間、なのに、今日は何もしていない。
「……時間が進むの、遅いなぁ。」
時間がもったいないな……何しようかな。
せっかくなら、いつもやらないことでもしてみようかな。
………
……
気づいたら、寝ていた。
いつもの時間に目覚まし時計が鳴り、でも、たくさん寝たおかげで脳がシャキっとしていた。
「……よしっ!」
いつもよりも早く学校へ行く準備も終わった。
昨日分からなかった問題の解が、ふと思い浮かんだ。
髪の纏まり方もバッチリだ。
気分が良かったので、いつもよりも一本早い電車に乗って、学校へ向かった。
「おはようございます!」
「おはよう!」
いつも交通安全を見守ってくれる地域の人に挨拶して、学校へ向かった。
「……河内、おはよう。」
「あ、先生!おはようございます!」
昇降口で、佐倉先生に会った。
「……なんか、調子よさそうだね。」
「はい、たまには休むことも必要なんだなって思いました。……あ、あとで来週締め切りの課題提出しに行きますね。」
「……え、それ本当に休んだのか?」
「朝起きたら、計算式がスラスラ―っと。」
「そっか、じゃあ楽しみにしてるよ。」
その日は、本当に調子が良かった。
課題は昼休みに全部終わったし、次のステージの曲目の振り付けもすぐに覚えられた。
おかげで、Usagiとの合わせのレッスンでも絶好調だ。
「よしっ!間違えずに踊れた!」
「ふふふっ……なんか、調子よさそうだね。」
「はい!」
「……最近、浮かない顔してたから心配してたの。やっぱり、Riaは笑顔で楽しそうにしているのが似合うわ。目を輝かせながら努力して、それがすごく輝いてて……そんなRiaを見て、私も頑張ろうって思えるの。」
「えへへ……そうなんだ。」
「最近、眉間にしわが寄ってたし、変なところで躓いて、ミスもして……でも、もう大丈夫そうね。」
「はい。」
わたしは昨日、ゆっくり休んで分かったんだ。
無理して頑張らなくていい、たまにはゆっくり休んでいい。
わたしは、わたしにできることを、わたしのペースでできればいいんだ。
ー・-・-
「……永遠ちゃん。あたしも行けるかな、あのステージ……立てるかな?」
「絶対立とう、一緒に。」
「うん。」
Riaに招待され、ステージを見に来た茉姫は手をぐっと握り、永遠と頷き合った。