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パートナーは誰ですか??  作者: 海歌月
迷い込んだのはアイドルの世界
11/20

11.味方なのかもしれません……

 職員室から逃げようとした瞬間、佐倉先生に言われた。


「河内さ、最近何かあった?」


 そこから数秒、わたしは固まってしまった。


「な、ぜ……なぜそのように?」

「そうだなー。最近、課題に提出時間が遅くなった。」

「期限は守ってますけどね。」

「それから放課後、最近学校にいないよな。」

「用事がありまして……」

「あと、なんか避けられている気がする。」

「それは気のせいですね。小説でも読みすぎたのでは?」

「ズバズバ言うなぁ……」


 出入口付近で話していれば、職員室の中にいた他の先生に招かれ、問題の質問をしたり進路相談したりする席に座らされた。


「正直、河内の課題の途中式、丁寧だから毎回楽しみにしてたんだ。河内がすぐに解いて持ってきてくれたから、俺自身も勉強になってたんだよ。」

「それは……すみません。」

「河内が忙しいなら仕方ないけど。なんか最近、授業中も上の空というか……考え事が多いんじゃないか?」

「そ、そんなことは……」

「この前は、体育館の隅で……なんか筋トレしてたよな。」

「……!!なぜそれを?!」

「偶然、通りかかったんだよ。体育館の扉も開いてたぞ?」


 ここまで見られていたなんて……

 なら、少しくらい相談してもいいのかもしれない。

 アイドル……とは言わずに、趣味……?よし、趣味でいこう。


「実は最近、友人たちと新しい趣味を見つけまして……」

「あ、そういうこと。」

「でも、友人の1人がその趣味を楽しめない状況になっていて……」

「ふーん……なるほど。」

「その子のために、何ができるか考えたいんですけど……そうしているうちに、わたし自身が成長の機会を逃している気がして……」


 実際、わたしはUsagiよりもパフォーマンスも歌も……ファンも負けている気がした。

 だからこそ、ユニットを組み始めてからもっと頑張らないとと思いながら、どうすればいいのか分からなかった。


「……実はさ、俺の知り合いも何か悩んでる気がしてさ。」

「え?」


 佐倉先生は何かを思い出しながら話し始めた。


「そいつさ、少し前は目を輝かせながら努力して、それがすごくキラキラしてて……俺も頑張ろうって思えた。」

「……それで、その人は?」

「最近、眉間にしわが寄ってる。」

「あぁ……」

「変なところで躓いて、ミスもする。」


 そういえば、わたしもミスするな……

 変な計算ミスもするし、歌詞を間違えたりもするし……


「そいつと河内が同じというわけじゃないけどさ……河内。」

「はい。」

「そんなに頑張らなくて、いいと思うよ。」

「へ……?」

「俺は頑張れ、頑張れっていうけれど、河内は頑張りすぎだと思う。締め切りの課題はもう提出されているし、今日は何もしないで一回休んでみなよ。」

「え、でも。」

「寝ると、頭の中も整理されるかもしれないだろ?」

「はい。」

「……で、休んだらまた頑張ればいい。困ったら俺にでも相談したらいい。担任じゃないけど……年齢も近いし、先生なんだから。」

「え……」

「何?」

「先生がそう言うなんて……」

「当たり前だろ?」


 意外な人が味方なのかもしれません……

 でも、なんだか心強い気がしました。

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