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38話 盗賊に襲われた少女

「いやぁぁぁ!!」

 山道に響き渡った叫び声は、若い少女のものであった。

「アンリエッタ様!!」

「騒ぐんじゃねぇよ!」

 少女たちの声に混ざって、低い盗賊の声も響いた。

 馬車の残骸が散乱する横で、少し質のいい服を着ている銀髪の少女が銃を腰につけた盗賊の男に馬乗りに乗られ、両腕をほかの腰に剣を差している男たちに押さえつけられている。そこから少し離れたところで、質素な服を着た茶髪の少女が別の男たちに取り押さえられていた。

 銀髪の少女が泣き叫ぶ中、馬乗りになっていた男は少女の服を引き裂き、上半身の素肌があらわになる。

「いや…いやぁああああ!」

「アンリエッタ様!」

「おいおい、お前他人のことを心配する余裕があるのか?」

 そいうと、茶髪の少女も服をはぎ取られると同時に、全裸にさせられる。胸の大きさは、茶髪の少女の方が少し大きいようにも見えた。

 銀髪の少女の胸をまさぐるようにして馬乗りになっていた男は手を伸ばしていた。

 森の中には、あいも変わらず銀髪の少女の叫び声だけがこだましていた。

「さぁて、そろそろこっちも頂くかなぁ。」

 そういうと、馬乗りになっていた男は銀髪の少女の下着を引きちぎる。

 恐怖で失禁していた少女の下着は、盗賊の腕力を前にしていともたやすくやぶれさった。

 なおも続く凌辱に、2人の少女の瞳からは涙が流れ続けていた。

 馬乗りになっていた男が、いざ自身の下半身に手を伸ばそうとした瞬間、山道の下の方向から何やら音が聞こえてきた。

 ドドドドドドドドと馬車や馬に蒸気機関とは全く違う音が響いている。

「おい、なんの音だこりゃ。」

 馬乗りになっている男が立ち上がり、周りを見渡すと、道のかなたから砂煙を上げて何かが近づいてくる。

「ボス、なんですかいありゃ。」

「わからねぇ。なんなんだあれは。」

 近づいてくるにつれて、そのモノは正面に向けて光を発しながら走っていることが分かった。

 ようやく目に見える距離になってきたと同時に、それが乗り物であり魔導エンジンを積んだモトルであることに気が付いた。

「ありゃぁ、モトルだな。こんなところで見るとはな。ありゃ高く売れるぞ。」

「やりやしょうぜボス。」

「おう。こいつらの味見は後回しだ!その辺に縛って隠しとけ!」

 しばらくして、盗賊目の前で2台のモトルは停止した。

 モトルに跨っていたのは、黒茶色の髪と金髪の髪の少女が2人だった。

 2人の少女はモトルを降りてスタンドを立て、2人並んで盗賊の前に立った。

「君たち、誰だい?」


――――――――――――

 森の中に快調なエンジン音が響いていた。

 街の住人に人通りが少なく立ち往生することなく港町のシスコを目指せると聞き、森の中の道を走っている。

 山道を走っていると、前の方で男が数人立っているのが分かる。

「ん?ロッティ!なんか人がいるよ!」

「私にも見えてる!停まろうか!」

 男たちから少し離れたところでモトルを停めてスタンドを立てると、男たちが走って近寄ってくる。そこで、ようやく男は4人いることが分かった。

「おいお前たち、こんなところで何をしているんだ?」

 腰に銃をもったり、剣を差している男たちがわらわらと寄ってきた。

 冒険者ともとれるような格好の男たちに睨まれながらも、ウェンディとロッティは一度顔を見合わせてから男たちに返答した。

「私たちは冒険者だ。この先のシスコの街に向かうところ。私たちのゆく道を停める理由は何?」

「冒険者?」

 ウェンディ達の言葉を聞いて、男たちはお互いに顔を見合わせていた。

 不思議な表情を浮かべている男たちに、ウェンディ達は何なのかわからないままに、続けて男たちに問いかけた。。

「で、なぜ止める?私たちに何か用なの?」

「あぁ、この先で魔物が発生したんだ。シスコとサンノゼのギルドから討伐隊が派遣されるまで、個々の道は通行止めなんだ。」

「ふ~ん。」

 2人そろって少し少し違和感を覚えながら、男たちの格好に目がいった。

 どの格好も冒険者にも見えるが、どちらかといえば盗賊の方が近いように感じた。恰好だけでなく腕に入った入れ墨は、冒険者ではないことを物語っていた。

 冒険者たちも入れ墨を入れることはあるが、男たちが入れていた入れ墨は、腕に蛇の頭に剣が刺さった柄だった。

 少し戸惑っていると、ロッティが男たちに問いかけた。

「で、あなたたちは何者?封鎖するならギルドの職員か、高ランクの冒険者だよね。でもおじさんたちの入れ墨、盗賊の入れ墨じゃないの?」

 ロッティの指摘はカマかけだった。

 ウェンディもロッティもこの地域にいる盗賊の紋章なんて知らない。

「な!?そんなわけないだろ!俺たちは冒険者だ!ギルドからここの通行止めを頼まれてきただけで…!」

「じゃぁ今朝サンノゼを出発してきた私たちがその存在を知らないのはなぜ?ギルドから冒険者が派遣されたんなら、昨日の時点で私たちの所に話が来てるはずだと思うんだけど。」

「…お前ら、普通の冒険者じゃないな。何者だ…。」

 4人の男たちは、腰の剣や銃に手をかける。

 そのしぐさに少しため息をついてから、ウェンディ達はある確信を持った。

 男たちは、冒険者ではなく盗賊だった。

 盗賊たちは、銃や剣を抜いてウェンディ達に向けた。

 一度ため息をついてから、ウェンディが早撃ちで2人に弾丸を放つと同時に、ロッティは両手で銃をもう2人に撃ち込んだ。

 盗賊たちはその場に倒れ、なんのためにここに立っていたのかは聞き損ねてしまった。

「とりあえず先に進もうか。この先に何かがあるのは間違いなさそうだね。」

 倒した男たちを亜空間収納にしまうと、モトルに乗り込んでそのまま先へ進む。

 ウェンディ達が次にモトルを停止させるのは、思いのほかすぐだった。

 前の方にさっきよりも大人数の人影が見えてきた。服装はさっき立っていた男たちと同じようなものだった。

 先を走ってたウェンディが後ろを走ってたロッティにハンドサインを出して、男たちの前で停止した。

 モトルを降りてスタンドを立て、2人並んで盗賊の前に立った。

「君たち、誰だい?」

「俺たちは、この辺りをなわばりにしてる盗賊団だ。ここを通っちまったお前たちは運が悪かったな。だが、俺たちからしたら運がいいぜ。すべての物、お前らの身体も俺たちが頂くぜ。」

 盗賊と名乗った10人近い男たちが、銃や剣を抜いてウェンディ達に向けてきた。

 少し面倒だなぁといったといった顔をしていたウェンディに気が付いたのか、ロッティが一歩前に出る。

 魔術師のロッティにはここまで近づいてしまっている敵は苦手のはずなのに、近接戦闘特化のウェンディを差し置いて長距離特化のロッティが前に出ていた。

 何をするのかと思っていたら、ロッティは力を籠めて少しずつ魔力を込めて、魔術を発動した。発動したのは単純な風系統。なんの捻りもなければ難易度も高くない風を発生させるだけの単純な魔術だ。

 しかし、単純がゆえに魔力を込める量による変化は顕著なモノになる。

 もはや大気の壁ともいえるほどの風が盗賊たちをつつみ、容易に吹き飛ばした。

「いえ~い。こうすれば簡単に片づけられるよ!」

「なら、さっきもやってほしかったかなぁ。」

「だって忘れてたんだもん。仕方ないじゃない。」

「まぁいいや。とりあえずこいつら全員縛り上げよ。ロッティ、あとでサンノゼの冒険者ギルドに応援頼みに行ってくれない?シスコでもいいんだけど。」

「わかった~。」

 2人で男たちを縛っていると、ウェンディの後ろでロッティが怒鳴り声のようにウェンディを呼んだ。

「ウ、ウェンディ!ちょっと、これは…。」

 うろたえているように見えるロッティの方にウェンディが近づくと、ロッティがせかすように手招きをしている。

 ロッティの横に立ってロッティの見つめる方向を見ると、裸の少女が2人木にしばりつけられていた。

 スカートだけ履いて口を縛られながら涙を流している銀髪の少女と、全裸で口を縛られながら、ウェンディ達を睨みつけている茶髪の少女が、並んで木の枝にロープを通して縛り付けられている。

「えっと、とりあえずロープを切るから、暴れないでよ。」

 ウェンディが腰の脇差を抜いて少女たちのロープを切る。その後ろでロッティが亜空間収納からマントを取り出してきて2人にかけてあげていた。

「大丈夫?」

「安心して、私たちは冒険者だよ。ロッティ、急いでサンノゼに応援を頼みに行って。」

「わかった。行ってくる!」

 マントをおいてから、ロッティはモトルに飛び乗ってアクセルターンしてサンノゼに向かって走り出した。

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