第87話 サユリ
2024年製作の映画「サユリ」。
ジャパニーズホラーで、設定は「引っ越した家には悪霊が棲んでいた」という、アメリカンホラーではよくある設定というか、非常にありふれた物語なのだが、それでもこの映画は面白い。うん。
先ずはこの映画のポスターがいいね~~、存分に怖い。そしてキャッチコピーが、
「見せてやる、極上の地獄を」
R15+の映画だから、血肉が弾け飛ぶシーンもあり、引っ越した途端に家族がどんどんと変になっていく様は存分にホラーであり、上に書いたアメリカンホラーで似たような設定ーーー引っ越した家には悪霊が棲んでいた的な映画みたいに、「妙に前置きが長い」+「家族の誰もが異変に気付かない」といったイライラさせる展開もなく、そして俺個人の好みに合ったホラー映画だった。どんなホラーが好みに合うのかというと、エクソシスト的なものが好きなのだ。要は、その悪霊だか悪魔と戦う系が妙に好きで、この映画ーーーサユリはまさにそれだ。そして108分ーーー約1時間半という長さの映画のために、中弛みが無く、テンポが小気味良い。
監督は白石晃士で、この監督が撮った映画には「貞子VS伽椰子」というホラーもあるらしいが観たことがない。この手の映画ーーー別々の映画の主役を戦わせる映画って流行ったよね。確か「ジェイソンVSフレディー」は観た事あるような気がするけど、内容は殆ど覚えてなくって、しょーもなかったんだと思うし、そんなこともあって「貞子VS伽椰子」も観てないのだが、このサユリを観て、「おおお、白石晃士監督ってヤっるじゃん」と思い、今度、近いうちに「貞子VS伽椰子」を観てみるわ。
原作は押切蓮介の「サユリ完全版」というマンガらしいが、映画とは設定にけっこうな違いがあって、ラストも違うみたいだ。
主要な登場人物とキャストを書いておく。
則雄(中学3年生)ーーー南出凌嘉。2005年生れだから撮影当時は19歳なのだが、中学生役に違和感は無かったな。
婆さんーーー根岸季衣。1954年生れだから撮影当時は70歳。いや~しばらくぶりに根岸季衣を見たけど、年取ったな~~。目と眉毛が近いせいか若い時から妙にクラ~~い性格の役が多かったけど、濡れ場なんかを堂々と演じてたのに、婆さん役の年齢なんだね~。
奈緒(中学3年生)ーーー近藤華。2007年生れだから撮影当時は17歳。うん。ほんとうに中学生っぽかった。物語では「ちょっと見える人」という設定。
他にも登場する人は大勢いるが、重要なのはこの3人。
そして則夫には両親と姉と弟がいて、父親が中古の一軒家を購入。念願のマイホームの夢がかない、祖父母とも同居する。だから則夫は引っ越しを機会に、父、母、姉、弟、祖父、祖母の7人家族となった。そして祖母は認知症で、同居する息子家族の名前すら間違うといった症状。
あ~~、それと、ここまで書いておいて今更なんだけど、ネタバレ書いちゃうから。この映画ってまだ新しくて観た事ない人も少なくないだろうけど、書いちゃう。でも大丈夫。観る前にネタを知ってても、この映画は存分に怖いし、面白い。
家族が引っ越した当日、高校生の姉ちゃんは自分の部屋を持てることに喜び、則雄はバルコニーからの景色が良いことにワクワクしてるが、小学生の弟だけはナニかに怯える。
翌朝、学校に行った則雄は、初対面の同級生:奈緒から話し掛けられ、「……気を付けて」と言われる。
すると先ず父親が死んだ。そして祖父も死んだ。
しばらくぶりに登校した則雄。すると奈緒が「家から直ぐに出て! 出て行かないとみんな……」と言った。そんな奈緒の言葉通り、則雄の目の前で弟、姉、母が次々と死ぬ。それら家族の死にざまは、どれも正常な様子ではなく、おかしくなった末の死亡であり、その様子が視聴者には怖い。そして残ったのは則雄と認知症の祖母だけとなった。
こんな展開が物語の前半なのだが、俺は「おおお、これは坊さんか神主が現れ、悪霊と戦う展開か?!」と思って観ていたのだが、まさかのババァ覚醒。
「夢じゃなかったか………すっかり目覚めてしまったわい。みんな死んだか? なんやチラチラ見えとったアレが全部やりおったか?」
そう独り言のように呟いたババァが、泣きじゃくってる則雄に怒鳴る。
「いいか!! わしら二人でアレを地獄送りにしてやるんじゃ!! 復讐じゃああああ!!」
そうなんです。認知症の婆さんがストロングばばぁに覚醒し、悪霊に戦いを挑んでいくという怒涛の展開が後半なんです。これね~前半部分との落差が大きすぎちゃって、「なにこれ?? くだらねぇ~~」って思っちゃう人も多いみたいだけど、俺はこの展開好きだな。ババァが怯える則雄に言うんだよね。「怖がるな、怖がったら負けるぞ。いいか…………笑え!!。アイツは死んでるんじゃ。ワシらは生きてる。生きてるワシらの方が強いんじゃ。笑って生の力をぶつけろ!! あーーーーはっはっはっはっは」的なことを。うん、これって真実だと思う。
っでババァは則雄に「生きる力を濃くすれば幽霊はなにも出来ない。だから食って、良く寝て、そして身体を鍛えろ!!」と、飯をガンガン食わせて、ランニングをさせ、そして太極拳を教える。そうすることで則雄はみるみる生命力が漲っていく。
っでついに悪霊が現れ、対決となった。ババァは言った。
「則雄! 下品なことを言え!!」
ちょっと考えた則雄は叫んだ、
「元気はつらつ、お〇ん〇まんまん!!」
「おお、いいぞ則雄。元気はつらつ、お〇ん〇まんまん!!」
ババァと則雄は悪霊に対して、放送禁止用語を怒鳴り続けた。すると悪霊は退散した。
俺さ~、この放送禁止用語を叫ぶババァ役を、吉永小百合か三田圭子、それか高橋恵子にやって欲しかったな~。インパクトがすげーーぞ。ギャハハハハハハハ。……無理か。
この放送禁止用語連発シーンなんだけど、実際にアリらしいね。幽霊に出くわした、とか、霊的な金縛りにあった時なんか、下品で卑猥な言葉を投げつけたり、実際にヤったりしたら効果てきめんだと力説する人は結構多い。中には「それってマジ? 話し盛ってるだろ」ってことをヤったと言い張る強者もいて、それは、部屋に若い女の幽霊が出たから覆いかぶさって股をまさぐってやったら消えた、って話で、誰にでも出来るって芸当じゃない。それに男の幽霊が出たらどーすんだ??
話しが横道に逸れちまった。映画の話しに戻すが、一旦退散した悪霊ーーーこれがすっげーデブった女の悪霊なのだが、そのデブ悪霊が則雄の同級生の奈緒を取り込んで再び現れた。則雄はいつからか奈緒に思いを寄せていて、ババァはそんな則雄の思いに気づいたらしく、
「則雄、お前は同級生の女に惚れてるのか?」
「………ああ好きだ。奈緒のことが好きで……ヤりたい!!」
っでババァと則雄の二人は再び放送禁止用語を叫び、そして悪霊を完全に倒して奈緒を救い出す、ってなシーンなのだが、俺はこのシーンは是非とも、あのホラー映画の金字塔と言われる「エクソシスト」をパロって欲しかった。うん、うん。エクソシストを撮ったフリードキン監督が亡くなったのが2023年だ。そのエクソシストへのオマージュを込めてパロって欲しかったな~~。どんなシーンかと言うと、
悪魔に憑りつかれたリーガン。そんな少女を縛り付けたベットの横で、メリン神父とカラス神父は渾身の力を込めて叫び続ける。
「神の名の下にお前に命令する!! 直ぐに立ち去れ!! 神の僕である少女の身体から直ぐに立ち去れ!!」
二人の神父は拳を突き上げ、声を揃えて「直ぐに立ち去れ!!」と声を枯らして叫び続けた。
こんなシーンなのだが、これをババァと則雄でやって欲しかった。
二人が横に並んで、二人ともが拳を突き上げ、真剣極まりない表情で、声を揃えて叫ぶのだ。
「腐れオ〇ン〇の豚女め!! マンズリこいて屁ぇして寝ろ!!」
「腐れオ〇ン〇の豚女め!! マンズリこいて屁ぇして寝ろ!!」
「腐れオ〇ン〇の豚女め!! マンズリこいて屁ぇして寝ろ!!」
っで止めが、
「よ~し則雄、ヤツが弱ってきたぞ。とどめだ、シゴけ!!」
と言って則雄のズボンとパンツをズリ下げる。
「わかった婆ちゃん。ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ってのはどーーよ。俺が監督ならやるな。どうせR15+だからさ。
追記
最後の方はすっげーーくだらない「俺が監督だったら」という話を書いてしまったが、この映画ーーサユリは面白いし、前半部分は十分にホラーで怖い。




