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第78話 映画「イーグル・アイ」

 2008年製作のアメリカ映画の「イーグル・アイ」。

 今から17年前に作られたSF・サスペンス・アクション映画なんだけど、すんげーー面白い!! テンポがいい、っていうより、ジェットコースターのような展開でスピード感が半端ない。映画の後半はちょいと雑な部分もあって、よくよく考えると「……ちょっと無理があるよな」って強引な設定が目に付くストーリーなんだけど、そったら細かい事はスルーしても、ぞんぶんに楽しめる映画だ、この映画わ。

 っでサスペンスなんだけど、「犯人は誰?」という謎がなかなか解けない。視聴した俺も、展開のスピード感に翻弄されながらも、「いったい誰が犯人なのよ?」と考え続け、とうとう解けなかったもん。そんな映画だからーーー17年前の映画だから観た人も多いのかもしれんが、ネタバレに繋がる感想は書かないゾ。うん、書かない。この謎を知ってから映画を初観しちゃうとね、この映画の面白みが半減すると思うんだわ。


 この映画には原作が無い。うん、無いの。オリジナル作品なの。すげーな、このSF映画がオリジナル作品ってビックリだわ。後半部分の「設定に無理がある」っていうのも原作が無いからなんだろうけど、だけど原作無しの映画でこのストーリーは凄い。っでスピルバーグが製作総指揮なんだよね~この映画って。そんで「スピルバーグが構想10年……」というのがこの映画の売りの一つなんだけど、それって本当なんだろうか? 俺は怪しいと思ってる。


 ここで製作総指揮にまつわる事を書いておこう。

 映画の場合、日本語では映画監督とか製作総指揮って言葉を使うけど、そもそも製作総指揮ってナニ? っで英語の場合、映画ではエンドロールにクレジットが流れてるんだけど、プロデューサーって肩書の人が大勢いるがディレクターってのもいる。そして「〇〇ディレクター」ではなく、ただの「ディレクター」が映画監督なのだ。うん、一番偉いの。

 ちなみにディレクターとプロデユーサーの違いをレストランに例えて説明した人がいる。レストランには料理長がいて、彼が何人もの料理人に指示を出して自分の思った通りの料理を作り出す。料理長がディレクターで映画でいえば監督。そしてそのレストランには支配人がいて、彼が経営を担いつつ、「環境」や「場」を作っているプロデユーサーだそうだ。


 っで、なんで映画にはプロデユーサーが沢山いるのかっていうと、「これを映画にしたい」というアイデアを持って来た人もーーー日本であれば「企画」なのだが、その企画に関わった人全部がーーー企画を持ってきた人、企画のプロットを書いた人、企画の権利を取ってきた人、それら全部がプロデユーサー。

 そして「〇〇プロデユーサー」ではなく、ただの「プロデユーサー」が、プロデユーサーの中では1番偉い。

「ライン・プロデユーサー」となると、お金の計算をしたり、段どりを組んだり実行したりの人で、現場で汗をかく人だ。

 っで一番下っ端のプロデユーサーは「アソシエイト・プロデユーサー」で、誰もがここから始まるのだが、重要なロケ地を探してきた人もプロデユーサーなのだ。どんな名前のプロデユーサーにするのかが悩ましくて、現実問題としてプロデユーサーのインフレが起きてるらしい。とにかく映画の成立において、人、金、物の貢献をした人が、み~んな「〇〇プロデユーサー」なのだ。


 そして日本でいう製作総指揮のことは「エグゼクティブ・プロデユーサー」だ。じゃ~この「エグゼクティブ・プロデユーサー」はただの「プロデユーサー」より偉くないのか? だって製作総指揮だろ? というと、そういうものではなく、名誉的な意味合いが強い。例えば、「製作費を出資してくれた」とか「この映画の制作に欠かせない重要なナニかで貢献してくれた」人だ。

 っで、製作総指揮で多いのが資金の調達やマーケッティング戦略だ。ちなみに「スーパーエイト」という映画は、最初の段階の企画や脚本はエイブラムス監督だ。だがエイブラムス一人で資金調達は難しいのでスピルバーグに話を持って行った。スピルバーグはエイブラムスの企画に興味を持ち、プロデユーサーに名を連ね、資金集めやキャスティングに協力。

 しかし、しかしながら、製作総指揮を置いた映画の場合、その製作総指揮が映画製作にドンドンと首を突っ込み、作品が監督のものとは言えない場合もあり、更にはその逆ーーー名ばかりの製作総指揮もある。特に、コッポラとかスピルバーグという名前の大きな人の場合、その映画の制作には全くタッチしない「名前貸し」が通例らしいぞ。

「大ヒット映画には一流の製作総指揮が関わってます」って言うけどね~~、「おおおお!! コッポラが製作総指揮か!」とか「スピルバーグが製作総指揮なら間違いねぇ!!」ってんで映画館に足を運ぶ人って少なくないと思う。言っちゃ~なんだけど客寄せパンダ的な要素が強いぜ。「これって誰??」みたな人を製作総指揮にする訳なんもんな。おまけに製作総指揮って必ずしも一人じゃない。2019年に大ヒットした「ジョーカー」なんて製作総指揮が6人もいやがった。そんで「イーグル・アイ」って映画の興行収入は全世界で1億7800万ドルだ。1ドル148円で計算すると、263億4400万円ってことか? ええ? もしかしたら桁が違ってる? いや合ってるな。ハリウッドの場合だが興行収入が100億円を超えた作品がメガヒットと呼ばれるらしいから、とにかくメガヒットに名を連ねる作品なのだ。それって間違いなくスピルバーグの名前が影響した結果だろうけど、だけどイーグルアイって映画は凄く面白い。………展開がちょっと雑で良作とは言えないけどね。


 上にも書いたように原作が無いこの映画、誰のアイディアなんだろう?

 原案がダン・マクダーモット。

 っで脚本が、原案のダン・マクダーモットと、ジョン・グレン、トラヴィス・アダム・ライト、ヒラリー・サイツの4人の共同執筆。

 原案のダン・マクダーモットが脚本にも関わってるからコイツか? って思って調べてみたんだけど、ほぼ無名。じゃ~ジョン・グレンか? 調べてみると1980年代の「007シリーズ」を何本も書いてるけど年齢なんぼよ? もしかしたらジジーじゃねぇのか? トラヴィス・アダム・ライトは「ハルマゲドン危機一髪」ってアニメを書いてた……。ヒラリー・サイツはアルパチーノ主演映画のインソムニア(クリストファー・ノーラン監督)の脚本書いてて評価が凄く高い映画なのだが、この「イーグル・アイ」のアイディア出したとはちょっと思えない。すると、やっぱりスピルバーグなんだろうか? それとも無名だけど原案に名前が載ってるダン・マクダーモットなの?


 監督はD・J・カルソーだ。彼が撮った作品にはアルパチーノ主演の「トゥー・フォー・ザ・マネー」や、アンジェリーナ・ジョリー主演の「テイキング・ライブ」、ヴィン・ディーゼル主演の「トリプルX:再起動」などがあり、サスペンス系のアクションが多いような印象だが、「マリア」や「トジコメ」などのスリラーや「呪縛館」といったホラー作品もある。っで「イーグル・アイ」は2008年の映画なのだが、その前年に撮った「デイスタービア」(サスペンス系ミステリー)で主演を務めたシャイア・ラブーフが再びこの映画:イーグル・アイの主演だ。


 主演のシャイア・ラブーフ。1986年生れだから「イーグル・アイ」撮影時は22歳なんだけど、この俳優さんって童顔だよね~。前年(2007年)に撮った「デイスタービア」では高校生役だし、代表作と言われてる「トランスフォーマー」も2007年の作品なんだけどやっぱり高校生役。っで顔つきからインド系なのかと思ったんだけど、父親がフランス系で、母親はユダヤ系だそうだ。

 シャイア・ラブーフは2007年頃からハリウッドで注目されるようになってきたんだけど、どういった訳だかドラッグストアーに不法侵入して逮捕されちゃってんの。それもシカゴのドラッグストアー。撃ち殺されんくて良かったよね。そして翌年には運転していた車で事故を起こし、車は横転、彼は左手の指を2本失うという大怪我で更には逮捕されちまった。そんなプライベートの騒動があっても俳優業は順調で、それは多くの監督から才能を認められていたからだと言われている。そして2013年のアノ映画ーーー「ニンフォマニアック」に出演。ハリウッドの実力派俳優として名を上げることに。だけどこの人ってアルコールに問題抱えてて、2017年に「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」の撮影中に公共の場で泥酔し、乱暴な態度をとったとして逮捕。日本はウソみたいに飲酒に寛容だけど外国は飲酒に厳しいからね。そこでリハビリ施設に入所。彼の父親って毒親だったらしくて、その父親との関係がトラウマとなりアルコールに頼った生活から抜け出せなかった。っで彼が凄いのが、父親との関係をノートにしたためる暴露療法ってのを施設でやったらしんだけど、そんな経験談を映画にしちゃう。それが2020年の「ハニーボーイ」だ。この映画は各映画祭で喝采を浴び、サンダス映画祭では審査員特別賞を受賞。この映画でシャイア・ラブーフはどんな役を演じたかというと、毒親の父親役。これって凄い俳優だと思うな~。

 ちなみにシャイア・ラブーフの演技って俺は凄く好きなの。特に逃げる場面が「イーグル・アイ」でも「トランスフォーマー」でも強烈に多いんだけど、とにかく「凄い」の一言。マッチョじゃないから戦う演技は似合わないだろうし、ひたすら逃げる。もう、逃げをやらせたら天下一品でどんな俳優でもシャイア・ラブーフには敵わない。今度、彼が逃げる映画を観てみ。すげーから。



 ヒロイン役を演じたのはミシェル・モナハン。身長が170㎝のスタイルの良い女優さん。1976年生れだからこの映画撮影時は32歳。主演のシャイア・ラブーフと一緒に逃げる場面が多いんだけど、シャイア・ラブーフって176㎝でアメリカの俳優としては小柄で高校生みたいな顔。だからどう見てもミショル・モナハンと恋人同士じゃ似合わないし、姉と弟にしか見えない。だからなのか、この映画でシャイア・ラブーフとミシェル・モナハンが怪しい関係になることは一度も無いの。それはいいんだけど、ミシェル・モナハンがヒロインなんだろうけど一児の母親役で、色っぽいシーンがまるでゼロ。全くないの。う~~ん……だったらさ~、男でいいんじゃねぇの? って思っちまった。ミシェル・モナハンって過去に出演した映画で濡れ場も演じててスタイルも凄くいいのに、なんだかチョっと物足りない感じ。トムクルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」ではトムクルーズの奥さん:ジュリア役で出演している女優さんなんだけど、この映画「イーグル・アイ」では「男の子の親」って役柄なんだよね~~。うん、別に女じゃなくてもよさそうな役。

 っでミシェル・モナハンって女優さんなんだけど、大学生時代にモデルをやってて、その関係で1年のうち3~4か月は日本に住んでいたらしく、日本大好きな超日本通だそうだ。そんで飼ってる犬の名前が「ロッポンギ」。うん、すごく良い人だぜ。ファンになろう。


「イーグル・アイ」の出演者の中で重要な役を演じてる一人がビリー・ボブ・ソートン。1955年生れだからこの映画の撮影当時は53歳なんだけど白髪のオジサン。俳優であり監督もやり脚本も書くというマルチの人で、監督・脚本・主演をやった「スリング・ブレンド(1996年)」ではアカデミー賞の脚色賞を受賞。この映画「イーグル・アイ」では確かFBIの捜査官だったはず。

 この映画「イーグル・アイ」ではとにかかく主人公を追いかけ続ける役なんだけど、もう気の毒なくらいに頭ぶっけたりする役で、しまいにはオデコに痣作っちゃって、この役者さんの雰囲気も相まって大笑いしちまったんだけど、最後は死んじゃって、「えっ……マジ」って絶句したわ。いや~生き残って欲しかった~。


 それと「イーグル・アイ」の出演者で忘れてはならないのが、大女優のジュアン・ムーアだ。「イーグル・アイ」を既に観た事のある人は「ええええええええええ?? ジュリアン・ムーアなんて出てた?? ウソだ。出てないよ!」と言うでしょう。しかし、出演してるんです。声だけで。

 そうなんです、多くの映画祭で主演女優賞、助演女優賞を受賞し、世界三大国際映画祭すべての主演女優賞を総なめにした大女優:ジュリアン・ムーアが声だけの出演をしてるんです。本人は一斉出てきません。そしてどういう訳かエンドロールで流れるクレジットにもジュリアン・ムーアの名前はないのです。だったらちょびっとだけの出演じゃ?? と思うでしょうが、映画のかなり最初の方から最後の最後まで喋ってます。ジュリアン・ムーアが。

 どうしてクレジットに名前が無いのか調べました。うん。理由はサッパリだった。



 追記


 映画のストーリーについては一切触れませんでしたが、この映画をまだ観たことのない人は是非観るべきだと、俺は強く思うぜ。

 ハリウッド映画は質が落ちた、ダメになったと言われてますが、この手の映画を作らせたらハリウッドの右に出るものは今だにないだろうな。

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