第67話 変な家
この映画は今年(2024年)の3月に公開され、興行収入が50億円を突破した大ヒット映画だ。
そんな情報を得た俺は、映画館には足を運びはしなかったものの、動画配信で観た。まだ有料だったのに、きっと面白くて怖い映画に仕上がっているのだろうと胸を高鳴らせてだ。だって50億だぜ、50億。何人が映画館に行ったら50億になるんだ? 一般が2,000円、大学生が1,800円、高校生が1,500円、それ以下が1,000円というのをネットで見かけたが、平均すると1人当たり1,600円ってとこだろう。すると300万人以上もの人が観に行ったってことか? あのさ~……ちなみになんだけどね、北海道の人口って520万人ちょっとなんだよね。その内、5歳未満の子も大勢いるだろうし、70歳を超えた爺さん婆さんだっていっぱいいる。300万人っていたらさ~、もしかしたら北海道に居住する人で小学生以上60歳未満全員に匹敵する人数じゃねぇの??
この映画観に行ったヤツの率直な感想を聞きたいわ。俺は動画配信での有料代ーーー僅か数百円ですら「返せ! このヤロウ!」って思ったぞ。
俺がこの映画を動画配信で観たのは先月(2024年11月)なのだがストーリーの殆どを忘れた。あまりにも酷すぎて「………なんだコレ」って呆然と観てたんだろうな。唯一覚えてるのが佐藤二郎のヘンテコ極まりない役造り。彼が喋る台詞の全てが「どうして?」と言いたくなるおかしなイントネーションで、ずーーーっと気になってしかたがなかった。普段からそういうイントネーションで喋る人ならしかたがないーーー例えば、あき竹城とかガッツ石松、それに宇崎竜童なんか、初めてドラマや映画で観た時「うわ……なにこの人の台詞回し」って思ったけど、アレが素なんだよね。そしてその喋り方が返って良いと思われての起用なんだろうけど、佐藤二郎って俺はあまり好きではないけど歴史探偵ってNHKの番組に出てるよね。あの番組での喋り方って普通だぜ。そんなに変わったイントネーションで喋ったりしてない。それがこの映画では……
監督でも演出の人でもいいから「いや~……佐藤さん……その喋り方は……あははは……ちょとね~」って言わんかったの? まぁ言わなかったからそのまんまで公開されてんだろうけどさ。そんでチョっと笑っちまったのが、確か映画の中盤だったと思うんだけど、佐藤二郎が相変わらずのヘンテコなイントネーションで喋ってる途中で、一瞬だけ普通の喋り方になって、だけど再びヘンテコに戻っちゃう台詞があった。あれさ~~監督も悩んだと思うぜ。「え……なんだ今の? どうしよう? NGにしようか? でも俺があんな喋り方を指示してる訳じゃないし………どうしよう」てな具合だったんじゃないのかね。
ちなみにこの映画には原作のようなモノがあるらしい。
っで原作者の雨穴さんという人は、この映画が公開された直後にXに投稿していたらしい。一言「ゴミ」と。他の言葉が一切書かれていなくて、その投稿も今では削除されているので、何がゴミなのかはハッキリしないが、この映画に対する評価なんだろうな~、と俺は思う。
元々がWEBメディアに2020年10月に「不動産ミステリー変な家」として掲載されたのが始まりで、数日後にはユーチューブ版も投稿され、凄い再生数だったそうで、翌年にはエピソードを追加した小説版も出ているらしい。特にユーチューブでの人気ぶりは凄くて、その影響なんだろうね、映画館に足を運んだ人の割合で10代が50%を超えているそうで、20代を加えると70%以上だそうです。
同じ「家」を題材とした日本ホラー映画なら、2013年製作の「スイート・マイホーム」の方が面白いし、俺は好きだな。
ただし、この映画ーー「スイート・マイホーム」もツッコミどころが満載で、辻褄が合わない、伏線が回収されない等々、いろいろと雑な造りではあるんだけど、面白い。しかし原作を読めば「あ~なるほど」と思える部分も多々あるらしいがーーー俺は未読ーーー映画では尺の関係なのか省略されている部分が意外なくらい重要。
①犯人の女は父親が大工で、子供の頃に父親が建てている家を1人で見に行った時に犯された。
②主人公夫婦はセックスレスで、夫が浮気をしていることを妻は気配として気づいている。
この2点が映画にも盛り込まれると、映画の印象がガラっと変わると思うんだけどな~、なんでカットしちゃったんだろう?
追記ーー
「変な家」という映画の中盤だったか後半だったか定かではないが「左手の供養」ってのが出てくる。うん、よく覚えてないんだけど、左手だか左腕が、とにかく重要なの。でも俺は、映画とは全く関係しない随分と昔の出来事を思い出しちまった。あれは高校生の時だ。友人のEが俺に言った。
「いっつもどうやってる? 右手だろ?! 左手でやってみろ。左手ってなんだかギコチない動きだから、他人の手みたいでスッゲーぞ」
そう聞いた俺はその日の夜にさっそく試してエラく感動したのを思い出したぜ。「左手の供養」。




