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第66話 邦画 Red

 この映画、久々に「??」って感想しかない。

 原作を読んだ事は無いのだが、賛否両論に分かれ、色んな意味で話題作だったらしい。そして映画版のエンデングは原作とは違うらしいが、原作者はこの映画のエンデングを絶賛してるみたいだ。


 映画版のストーリーを物凄く単純に言い表すと、「結婚に向いていない女が結婚したのだが、昔の男と出会った途端になんの躊躇いもなくヤっちまったら実はソイツは死にかけていて、それを知ったら止まらなくなっていく女のお話し」。



 2020年製作の日本映画でR15作品。

 配給は日活

 監督は三島有紀子。

 原作は島本理生。

 脚本は池田千尋、三島有紀子


 村主塔子  夏帆(昔、妻子持ちの鞍田の女だった)

 鞍田明彦  妻夫木聡(塔子の昔の男)

 小鷹淳   柄本佑 (鞍田の同僚)

 村主真   間宮祥太郎(塔子の夫。幼稚園児の娘がいる)


 ちなみに原作者の島本理生なのだが、2021年製作の映画「ファーストラヴ(北川景子主演)」の原作者でもあって、北川景子が好きな俺としては観たいな~って思ってたんだけど、Redを観て、止めた。こいつが原作の映画はきっともう観ないと思う。


 とにかくこの映画は「??」だった。ちょっと感想を書きようがないくらい「??」なのだ。まぁ、登場人物全員に共感できないってのもあるのかもしれないけど、なんだか変なストーリーで……



 最初に映画の結末を書いちゃう。

 血液の癌を患ってる鞍田(妻夫木聡)は死んじまうんだけど、その鞍田と関係を持った塔子(夏帆)は、「ママ行かないで」と泣きじゃくる自分の娘を見捨て、一人どこかへ行ってしまう。


 これね~~「娘が可哀そう過ぎる」という感想がネットに多いんだけど、そうせざるを得ないナニかがあればストーリーとして成り立つと思うんだよね。だけど、そこに至るまでの心の葛藤っていうのか、どうして娘を捨てなくちゃならないのかが、「??」なの。ちょっと俺の勝手な解釈を披露するね。


 映画の冒頭で村主夫婦の夜の営みシーンがあるんだけど、夫が妻に対して「俺に奉仕しろ」的なセックスに終始していて、決して妻が満足するのもじゃないように描かれてるんだけど、それって2つのケースが考えられるんだよね。


 1つは、夫はモラハラ常習犯で、俺さえ満足すればそれでいいんだってやつ。

 もう1つは、妻は凄まじいまでの「床上手」で、それに引き換えちょっとマザコンチックな夫の方は、女の経験が浅く、だから結果的にいつもそうなるってやつ。


 これね~後者なんじゃないのかな。だとしたらエンディングもそうなんだけど、全ての辻褄が合うんだよね。マジで。

 映画ではハッキリ描かれてないんだけどね、10年前、まだ塔子が独身だった頃に、鞍田が経営していた設計事務所で塔子が働いていて、そこでかなり強引に関係を結ばれ、そして酷い捨てられ方をしたみたいなんだけど、鞍田には嫁が居たからその不倫時代に色んな事を仕込まれたって設定だとしか思えないんだよね。だから、塔子が実母からキツイことを言われるシーンがあるんだけど、それって「あんたのことなんか全部分かってんだよ! あんたみたいな女が幸せな家庭を築けるはずがない!」って思ってんだろうな~って事が伝わって来た。うん、そんな台詞は無いんだけど、実母は塔子のことを見抜いてて、実際に言ったのは「あんた、本気で男愛したことないだろ」って台詞なんだけど、言い換えると「男って、あんたにとっては身体だけなんだろ」ってこと。その実母役を演じたのが余貴美子。いい味出してたな~。



 ちょっと余談になるけど、最近、余貴美子が若い時に出演していた「噛む女」って映画観たんだけどビックリした。濡れ場もあってヌードも辞さない女優さんだったんだね~。それよりも顔が細面で今の余貴美子とは完全に別人。エンドロール見るまでアレが余貴美子だなんて全然分んなかった。いや~~年月は残酷っていうけど、年取ったら頭蓋骨の形まで変わっちゃうのかね~~。



 話を戻すけど、「肉欲を無理に押さえ込んで幸せな主婦を演じてた女が、昔の男に出会って関係を結んだらもう戻れなくなった」。そういうお話しだと思って観れば、エンデングを含め大体の辻褄があう。


 それにしても時系列を無駄に弄って、10年前と現在を行ったり来たりさせる手法はーーー夏帆と妻夫木聡の二人が10年前も今も全然変わってないせいもあって極めて解り難いし、そもそも無駄だ。ミステリーでもサスペンスでもないのになんで時系列を弄った作りにしたんだろう? 最悪だったのは、映画の後半で鞍田(妻夫木)が鼻血だか吐血だか分からないんだけど、とにかく顔のどっかから血が出るの。これでコイツは死ぬんだろうな~って観てたら、塔子(夏帆)とまたヤり始めた。俺は「ああ、このシーンってきっと10年前を思い出してるんだろうな」と思ってたら、現在だった。なんでそこでヤる? って思ったし、そもそも「このシーンってどっち?」って考えなきゃならんっていうのがムカツイた。


 話しが前後しちゃうんだけど、この映画の設定みたいなものをここで書く。

 塔子は夫の両親と同居してるの。だから、義父、義母、夫、塔子、娘の5人家族。っで義父は単身赴任なのかな~? ちょっと忘れたけどとにかく普段は居ない。っで結構いいところに勤めてる義父。そして夫も一流商社勤めだから経済的にはそうとう恵まれてる設定。

 っで映画の冒頭では、夫はマザコンでモラハラ的。っで義母はやっぱり姑根性みたいなものがあって、塔子の居場所はこの家には無い、ような描き方で始まる。だからそこで塔子への共感を得る作りなのかな~って観てたら、どうもそうじゃない。夫は夫でけっこう優しい。そして義母も塔子のことを気遣ってて、それまで専業主婦だった塔子が働きに出たいと言っても、義母は反対などしない。孫の幼稚園だって塔子の仕事の都合によっては義母が迎えに行ってくれて、それに対して嫌味なんて言ってない。だからね、塔子の暴走は己の身体に原因があるとしか思えないんだけど、それを映画にする? 18禁のポルノ映画じゃないんだからさ~。う~~ん……分らん映画だ。

 この映画ってね「女性の視聴者は感動でむせび泣き、男性の視聴者には不評」ってのを何かで読んだ記憶がある。

 確かにさ~、夫がいる既婚女性であっても願望としてそういうがあって、1~2度経験しちゃったって人も少ないないと思うけど、子供を捨ててまで、となると話は別だよ。そんな女のお話しに感動してむせび泣く? これって女性に限らず男性も同じだと思う。女遊びが高じて嫁に追いだされたって男であっても、女と遊びたいから自ら子供を捨てる男って……普通はいない。それが出来ちゃう人間って、男女の別はなく、ただ単に「人としての情が欠如した鬼」なんだと思う。他に言いようがない。


 それとね、絶対に設定として無理があるのは、一つの家に専業主婦が二人いること。サザエさんの家みたいなんだよね。サザエとフネは2人ともが専業主婦で、仲良く二人で台所に立って夕飯の準備なんかしてるけど、あれは無理だよ。実の母娘であっても一つの家に専業主婦が二人もいたんじゃ絶えず衝突する。それが義母と嫁の二人が揃って専業主婦って有り得ない。

 映画のあの家って二世帯住宅なんだろうな~って何となくそう思って観てたんだけど、キッチンは一つしかなくって、塔子がハンバーグを作っていると義母がいうの、「塔子さん、あとどれくらいかかる?」って。それって自分もキッチンを使いたいからなんだよね。何気ないそんな会話から「ああ、これは上手くいかないわ」って思うんだけど、そもそもそんな家って俺はないと思う。塔子の夫はあんまりそんな事を考えるタイプじゃなさそうだけど、同居をするって時に、義母、もしくは義父は絶対に言うよ。「塔子さんは働かないの? だったら……」って。

 だいたいどうして塔子は働いてないんだろう? 今のご時世、共働きって普通だよね。確かに俺の嫁はどうにも働くのがあまり好きじゃなくってーーー社交的なクセに働くのが面倒なタイプで、それもあって子供が小さい頃はずっと専業主婦やってたのが、子供が家にいなくなるとーーー若い時に結婚しちゃったからまだ40代だからなのか、何故だが働いてるわ。よくわからない人だ。

 仮に経済的に余裕があっても社会に取り残されてるようで、だから働く女性もいるし、子供の高校、大学の資金を溜める為に働く女性は多い。そこで義母に子供を預かってもらう為に同居を提案する息子夫婦ってのは珍しくないんだろうけど、同居はするわ専業主婦が二人になるわ、だけどキッチンは一つって、こんな家ならチョっとしたことが積もり積もって壮絶な嫌がらせ合戦になるの普通は想像するだろ。



 とにかく「??」の多い映画なのだが、題名の「Red」も色んな意味を持たせてます、って感じて好きになれないし、決してセンスが光る題名だとも思えない。

 ただね、映画の冒頭と最後が同じシーンなんだけど、夜間の雪道を丸太を積んだトラックがけっこうなスピードで走って行くの。その丸太がトラックの荷台より長いのか、荷台からはみ出てる丸太の端に赤い布が付いていて、その赤い布を意味ありげに映し出してるシーンが映画の冒頭と最後に使われてる。

 おそらくなんだけど、「許容値を越えている」としてこのシーンを使ったんではないかと思う。というのも、塔子が家族の了解を得て働き始めた設計事務所で鞍田が病欠になった際、誰が鞍田の穴を埋めるかを話し合うんだよね。そしたら塔子が「私やります」って言うの。だけど周りの人は「塔子さん、それでなくてもあなたは多くの担当を持てって……大丈夫なの?」的なことを言う。要は「許容値を越えてるんじゃないの」ってこと。それに塔子が選択した「夫と娘がいる幸せな家庭」と「昔の男との関係を続ける」ことは完全に許容できる範疇を越えていることだろうし、それを暗示させるために「荷台からはみ出した丸太を積むトラック」のシーンを使ったのだと思うのだけど、あのシーンは観る人が見れば、制作者側の無知がバレるシーンだ。


 先ずね、自動車の長さより10%長い物まであれば積載OK(今は法律が変わって20%までであればOK)。

 しかしそれを超える貨物を積む場合ーーー制限外積載許可っていうんだけど、何処から何処まで運ぶのか、それを発地の警察と着地の警察に届け出して、そして30㎝平方以上の大きさの四角い赤い布を付けなければならない。但し、それって昼間に運送する場合で、夜間の場合は灯火が必要。

 そして何よりもあのシーンが有り得ないのは、丸太を数十本を積載するトラックって、俗に「ステッキ車」と呼ばれるタイプで、あのシーンでも単車のステッキ車が使われていたけど、丸太を積んだステッキ車って、その丸太を下ろす時にドライバーが逃げ遅れて死亡事故になるケースがあるの。だから荷台からはみ出す長さの丸太は絶対に積まないし、そんな荷台より長い丸太の運送に警察は制限外積載許可は出さない。


 映画の制作者はきっと「過積載」をイメージしてあのシーンを使ったのだと思うけど、制限外積載許可に使用する赤い布はね~~、かなり変だし、あのシーンを使ったせいで逆に「このシーンってなに?」って伝わらないモノになったと思うな。このシーンって原作にあったのだろうか? もしあったのなら作者の取材不足。原作には無くて映画のオリジナルなら監督と脚本家、それとスタッフの怠慢だろうね。



 最後に主演の夏帆なんだけど、彼女って未だにオッパイもお尻も出せない女優さん? それならどう考えても起用に無理があるよ。あれだけ長々とベットシーンがある映画なのに、それを表情だけの演技って……

 そうなんです、妻夫木聡とのセックスシーンが凄く長くて、それを「丁寧に描いてる」と評価してる人も多いんだけど……顔だけだぜ、顔。顔面性行為って変だろ。俺さ~~、夏帆のアノ時の表情観て、「え……痛がってんの?」ってマジで思ったから。だってさ~夫との夜の営みでがまともじゃないみたいだから、そうとうに久しぶりで、それで痛がってんだ、って思ったんだよね。


 とにかくこの映画は「???」だった。


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