第49話 ドラマ 女の中にいる他人
ここで書こうとしている「女の中にいる他人」は、2017年にNHKが7週に渡って放映した連続ドラマだ。
民放で放映されたドラマなら結構酷いのも少なくないが、このNHKドラマは負けてなかった。いったいなんなんだコレは状態で、俺はビックリしたぞ。
だがこのドラマには原作があって、もっとビックリ。俺はこのドラマを最近視聴したのだが、脚本家のオリジナルだろうな~って思っていたのだが、違った。
原作はイギリス人ーーーこれにもビックリ。これって外人が書いたの?ーーーエドワード・アタイヤが書いたミステリー小説「細い線」だそうだ。だが、ここでもビックリ。これってミステリーだったのか! ウソだろ!
更には1966年には井手俊郎が脚本を担当し、成瀬巳喜男監督がメガホンを執って映画化までされていて超ビックリ。主演は小林圭樹で、キャストには新珠美千代、三橋達也、草笛光子など何れも30代だがそうそうたるメンバーだ。
だがそれだけでは終わらず、1981年にドラマとしてリメイクされ火曜サスペンス劇場で放映されていた。だがこのドラマで主役が女に代わった。大原麗子だ。おそらく脚本でかなり弄った結果なのだろう。他のキャストは、川崎敬三、室田日出夫。
そんでもって2017年の再リメイク。
ハッキり書くが、このドラマはクソなんてもんじゃない。はぁぁあああああああ?? の連続で、ストーリーが破綻している訳ではないのだが、「さすがにこれはあり得ないだろ!」ってシーンばっかで、ミステリーやサスペンスというより、コミカルファンタジーだ。
あまりにもバカバカしい展開すぎて、これから書こうとしている感想にネタバレが含まれるかもしれないが、そんなもん、どーーだっていい!
主演の百合子を演じたのが瀬戸朝香、っでその夫の和夫を演じたのが小尾としのり、百合子の友人でバーの経営者:美智子を演じたのが板谷由夏、和夫の親友:楠本を演じたのが石黒賢、その妻:沙織を演じたのが西山って女優。っで美智子の愛人でバーで働いている園山を演じたのが中村倫也。
ほかにも何人かの俳優が出演しているが、この6人でストーリーが出来ちゃってる。そう、えらい世間が狭いのだ。舞台は東京だぜ、東京。
先ずは、和夫が浮気をしているのだ。その相手は自分の親友:楠本の嫁ときたもんだ。まぁ有りがちだ。だがこの段階で世間を狭めてる。
その楠本夫婦なのだが、夫と妻がそれぞれ違った事業を経営していて、夫の事業はあまり上手く行ってないようだが、妻の事業は順風漫歩で、それもあって妻は仕事場に近いマンションを借りていて、いわば別居のような生活。っで和夫との行為の際には浮気相手というこもあってなのか「首を絞めてぇぇ」というのがいつものパターン。夫とはどうだったのかは不明。ところがか浮気相手の和夫がバカで、絞めすぎちゃって死んじまった。
そうなんです。楠本の妻:沙織は第一話の開始直後に死亡。きっと回想シーンがあってそこで出てくるんじゃないかと思っていたが、確か、出なかったはず。だから沙織が浮気に走った背景なんてもんは一切解らず、ヤってる最中に死んだセックス中毒の女って扱い。
次にだ、この絞められて死んじまった楠本の嫁は、借りていたマンションが広かったからなのか、ある女をルームメイトとしていた。そのルームメイトが美智子だ。蛇足だが、バイセクシャルの設定ブチ込んだ方が面白くなったと思うのだが………
話を戻すが、その人間関係の設定がバカ過ぎるのだ。美智子の友人が百合子だぞ。その百合子の旦那が和夫だ。その和夫が絞殺しちまったのが楠本の妻:沙織で、沙織のルームメイトが美智子って……世間が狭いなんてもんじゃねぇだろ。無人島でコイツらだけで暮らしてんのか???
あげくには、美智子と百合子の関係が拗れていて、昔は親友だったそうだ。だが美智子が結婚した相手がDV野郎で、美智子は警察に相談することもできずに誤ってそのDV野郎を刺し殺した過去がある。っで、夫からDVを受けていたと知っていた友人:百合子に情状証人になってもらえば執行猶予で済みそうなのだが、頼まれた百合子が断ったもんで実刑。これってまずもってムリないか? 親友だったんだろ? その親友が殴られるは蹴られるはで痣だらけだったの知ってたんだろ? 相談までされてたんだからやってやれよ、情状証人ってのを。何故断ったの? 鬼だった? 百合子は断った理由を言ってはいたが、どうにも説得力のある理由じゃないんだよな。
そんなもんで出所した美智子は百合子の事を死ぬほど恨んでいた。
次にだ、誤って浮気相手を絞め殺しちまった和夫は、慌てながらも部屋中の自分の指紋を拭きとって逃げた。だが逃げる途中に、チラっと後姿を美智子に見られた。チラっとだぞチラっと。それも後ろ姿で紺色のコートを見ただけなのに、美智子は「これは百合子の旦那だ!」って確信する。観てるこっちがエエエエエ?? って思っちゃうから。とにかく百合子を怨みすぎちゃってて、世の中で犯罪が起きればゼーーーンブそれの犯人が百合子の旦那だって思い込む病気?
この時点で、和夫の犯罪ーー過失なんだろうが、警察が和夫に辿り着くのは時間の問題だろうな~って思いながら観てたのだが、辿り着かないときた。これってさ~、原作はどうだかしらないけど、日本の警察バカにしすぎてるだろ。
っで、百合子を死ぬほど恨んでる美智子は警察に行くんだよね。呼ばれもしないのに。すると刑事が美智子に聞くの、「あなたは犯人が誰だと思っているのですか?」って。はぁああああ?? どんだけ無能な警察なの? そったらもん、こんな前科のある女に聞いて、「百合子の旦那だと確信してます」って言われて、おおおおお、なんて思っちゃうの?
そんで超凄いのが、気の弱い和夫は物も食えなくなって、全然眠れなくて、とうとう嫁の百合子に言うの、楠本の嫁とずっとヤってて誤って殺してしまった、って。そしたら百合子が言うの、「あなたはヤってない! ヤってなんかいないの!」って。もう心臓が鉛でできた嫁。だけど俺は応援したね、この心臓鉛女を。夫の和夫なんてポカーーん状態。嫁にゲロして楽になって警察に自首しようとしたんだけど、もっともっと追い込まれることに。ギャハハハハハ。
笑っちまうのが、嫁を寝取られ殺された楠本。だけど知っていたの。嫁が親友の和夫とヤってるのも、和夫が殺したのも。まぁ金が目的なんだろう。とにかく和夫に食らいついて、たかっていこうと考えてたんだろうが………NTR趣味をもっともっと全開にしてほしかった。
とにかく金のためには和夫が捕まってもらっては困るから、アリバイなんかを助けるんだけど、邪魔なのは、執拗に和夫と百合子に揺さぶりをかけてくる美智子の存在。だから美智子の愛人:園山に持ちかけるの。「美智子を殺せ、上手く行ったら2千万円だ」って。でもさ………園山ってたんなるバーテンだぞ。バーテンやってる人って2千万円で人殺し請け負うの? だけど請け負うんだよね。
園山は、美智子が色々と百合子に嫌がらせをしているの知っていたから、百合子の名前を騙って美智子を呼び出す。夜の神社境内に。そして神社の階段テッペンにいた美智子を突き落とす。もう、ゴロンゴロンゴロンゴロンって、数百段あったと思われる石の階段を下まで転げ落ちた美智子。
家に戻った園山は興奮冷めやらぬ様子で「やったぜ、俺はやった、あははははは…これで大金が手に入る」と喜んでいたところに、ガチャンと玄関が開く音。現れたのは全身ズタボロの美智子。ギャハハハハハハハハハハハハ。
俺ね~、このドラマ嫁と一緒に観てたんだけど、このシーンで大笑い。嫁と二人で。もう、どうみてもコントなんだよね。まぁ生きてるんじゃないかな~って思てはいたけど、まさか、自分の足で帰ってくるなんて予想外過ぎて、「やったぜ」って喜んでた園山にしてもガッビーーーンって感じで呆然としてる顔がスッゲーーおかしくて、もう大笑い。ただ、あの階段から落ちて重体じゃないってのは鉄人だわ。もう無敵の人。
っで楠本は楠本で、直接、百合子を強請るんだよね。車の助手席に乗せて、金だけじゃなくて犯そうって考えながら運転してるの。それに気が付いた百合子はーーー普通わかるよな、きっと犯されるってーー「停めてーーーー!」て叫びながら楠本が握ってるハンドルにしがみ付くもんだから、車は路肩から転落してゴロンゴロンと回転して大破。運転していた楠本は何か所も骨折する重傷なんだけど、助手席だった百合子はフラフラしながらも歩いて帰宅。こいつも鉄人だった。
もう、バケモノ女VSバケモノ女がこのドラマで、設定が現実離れしてようがおかまいなしにエンディングまでまっしぐら。そのエンディングも有り得ない結末。
後で調べてわかりました。
1話~2話の脚本が吉昌弘
3話の脚本が児玉頼子
4話~7話の脚本が吉本昌弘
1話と2話は面白くて、そんなに現実離れしてなかったんだよな。
もしかしたら3話の脚本が吉本昌弘にとって我慢ならない内容で、もうヤケクソで4話以降を書いちまった???




