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第48話 レインメーカー

 レインメーカーは1997年に制作されたアメリカ映画。

 監督は、フランシス・フォード・コッポラ。

 原作は、ジョン・グリシャムが1995年に発表した小説「原告側弁護人」。


 原作者のジョン・グリシャム自身が10年間にわたり刑事事件と人身傷害事件を専門とした弁護士として活躍していたこともあって、「評決のとき」、「法律事務所」、「依頼人」、「危険な弁護士」を執筆。そして下院議員も務めていたこともあってなのか「ペリカン文書」も彼の代表作の一つだ。

 ちなみに、この映画の原作となった「原告側弁護人」を読んだ事はないが、上巻と下巻に分かれた長編らしく、前半は妙にダラダラした展開で、読み進めるのが辛かったという感想を持った読者も少なくなかったようだが、後半の法廷場面は一気に読んでしまう描写らしい。


 映画のレインメーカーはというと、大手生命保険会社を訴え、その保険会社の顧問弁護団と主人公の青年弁護士が法廷で火花を散らす、という民事裁判がメインストーリとなっていて、この部分は原作と同じらしいが、ストーリーの枝葉の部分はかなり弄っているのか、ダラダラした展開は一切なく、相当に面白い。


 脚本はメガホンを執ったフランシス・コッポラが務めているのだが、コッポラが58歳で、ちょっと意外な感じがした。

 誰もが知ってるコッポラ映画を羅列すると、

 ①1972年 ゴットファーザー

 ②1974年 ゴットファーザーPART Ⅱ

 ③1979年 地獄の黙示録

 ④1986年 ベギー・スーの結婚

 ⑤1990年 ゴットファーザーPART Ⅲ

 ⑥1992年 ドラキュラ

 ⑦1996年 ジャック

 ⑧2001年 地獄の黙示録 特別完全版



 ③の地獄の黙示録は1974年に公開されているのだが、コッポラはずーーーーっと何年間もこの映画の編集をやり続けていて、ようやっと⑧の特別完全版に漕ぎつけてるのだが、その間の1997年にレーンメーカーというーーこれはあくまでも俺の個人的な感想だがーー恐れを知らない青年が主人公の青春映画を撮っていたという事にちょっと驚いた。というのも、よく憑依型の役者が「演じた役から抜け出せない」という話を聞くが、コッポラの地獄の黙示録に対するハマり方は憑依型役者以上だったと思っていたのだが……

 ただ笑っちゃうのが、レインメーカーを撮る前の年に、⑦にあるジャックを撮っている事だ。この映画はコメディーらしい。俺は観た事がないのだが近いうち内に絶対に観ようと思う。地獄の黙示録の編集作業に憑りつかれていたコッポラが、どんなコメディーを撮ったのか凄く興味がある。


 余談になるが映画の題名となった「レインメーカー」とは、雨を降らせる技術を持った人のことを言い、現代では、雲を観測して降雨を誘発する技術者を指すらしく、雲に微粒子を散布するクラウドシート法とか、レーザーを照射して雲の中に静電気を発生させるレーザー誘電法なるものが代表的な技術らしいが、古くは,呪術を使って雨を降らせる宗教的職能者を指していたそうだ。

 それと野球では高く打ち上げられたボール、バスケットでは3ポイントシュートを量産する人や山なりに高く放り投げるシュートのことを言い、レインメーカーという言葉は様々な意味があるという。

 そしてもう一つの意味が「莫大な利益をもたらす人」だそうだ。それは「恵の雨」であり、関係する人たちに資源や利益をもたらすのが雨あであり、そこからの意味らしく、英語では「弁護士」という意味にも使われる。


 映画の話しに戻るが、この映画のキャストが凄く良い。

 主役の青年弁護士を演じたのはマッド・デイモン。1970年生まれだから当時27歳。彼は2014年ごろからトレーニングをやり始めたらしく、今では筋肉隆々のマッチョ俳優なのだが、この映画に出演していた頃は決してそのような身体ではなく、役の中でも少し格闘シーンがあるのだが、あまり強くない、というか、好きな女性を守れないのでは? と思ってしまうくらいな役柄で、俺はこの頃のマッド・デイモンが好きだな。


 マッドデイモンを雇った法律事務所のボスを演じたのがミッキー・ロークだ。いや~~この映画のミッキー・ロークはメッチャクチャにカッコいい! 着ているスーツもべらぼうに素敵なのだが、ミッキー・ローク自身が男の俺でも見惚れた。彼は1952年生れなので、当時は45歳。あのナインハーフに出演した時は33歳なのだが、その時よりも数段カッコいい。どうして整形手術なんかしちゃったんだろう? 彼が最初に整形したのは2009年だそうだ。その理由がボクシングで負った顔の傷を治すためだったらしいが、これが失敗。そして何度も整形を繰り返すハメに。だけど彼がプロボクサーやってたのって1991年から1994年までなんだよね。だからレインメーカーに出演した時は既にボクサーを辞めていて、彼に言わせると顔に傷を負った状態だったはず。いや~勿体ない。


 そしてヒロイン的な役を演じたのはクレア・デインズ。彼女は1979年生まれだから当時なんと18歳! この頃のクレア・デインズはメッチャ美人で強烈にかわいい。ちなみにこの映画の前の年に制作された「ロミオとジュリエット」でディカプリオと共演して清純派アイドル女優として大ブレイク。だが、この映画--レインメーカーでは人妻役なんだよね。それもDV夫に虐げられ、顔や身体中に痣を作ったり骨折させられているのに、逃げるという発想に至らない、飼いならされてしまった妻役。先にも書いたが、とにかくメッチャかわいくて、何歳なんだろうってずっと思いながら観てたのだけど、まさか18歳だったとは驚き。


 レインメーカーの詳しいストーリーは省略するが、リーガル物(法廷や弁護士を扱った映画やドラマ)が大好きな俺でも、うん、面白い、と感じた。だが、クレア・デインズ演じた人妻と、マッド・デイモン演じた青年弁護士の関係が、どうにもチョットって感じだ。原作は呼んでいないから俺の勝手な想像なのだが、この人妻は原作には出てこないのではないだろうか。映画だけのオリジナルのような気がする。そして、コッポラ特有のカットしてしまった部分が意外と重要だったりするのだが、お蔵入りとなったシーンに人妻と青年弁護士のその後が描かれていそうな気もしないでもない。もしそうなら、完全版なるものを是非とも観たい。そう思うくらい、最後はあっけない終わり方で、あの人妻はどうなっちゃうの? だ。


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