第44話 ヴァチカンのエクソシスト
2023年のアメリカ映画で、題名から想像できる通りホラー映画だ。
主演はラッセル・クロウ。クマのプーさん状態は少しは脱出したみたいだが、やはり昔の面影は無くって、でもそれが返って巨体なもんで、これは悪魔より強そうだわ、と思わせる神父役。ちなみにラッセル・クロウはこの映画がホラー映画初出演だそうだ。
原作はローマ教区のエクソシストであるガブリエーレ・アモルト神父の著書「エクソシストは語る」だ。
っでラッセル・クロウが演じた神父がこのアモルト神父。そうなのです、この映画は実際にあった出来事を基にして作られた映画なのです…が、正直言って、期待外れで非常に面白くない映画。
だがアメリカでは結構な興行収入を記録していて、大成功の部類に入る映画らしい。なぜなんだろう? このホラー映画が面白い?
ちょいと実在したアモルト神父についてを書こう。
2016年に亡くなった神父なのだが、生前、16万件以上もの悪魔祓いをやってのけた神父だそうです。これってさ~~大変申し訳なんいんですけど「どうなの?」って思ちゃう。まるで永井豪が描いたデビルマンの世界みたい。確かデーモンが人類に行った攻撃の一つに、悪魔が無差別に憑依するってのがあったような気がする。ところが憑依されても人間の心を持ち続けたのがデビルマンで、同じように心まで悪魔に支配されていない同志を集めてデビルマン軍団を作ってサタンと対決していったはず。うんうん、16万人以上はいたんじゃないかな。
まぁそんな話は置いといて、アモルト神父は1990年に国際エクソシスト協会なる団体を設立し、エクソシストの訓練や支援を行っていたらしい。それくらいエクソシストに生涯を捧げた人物で、心底神を信じ悪魔を憎んだ人だったのでしょうね。
だがどうしてこの映画はこんなにも面白くないのだ。脚本なのか演出なのか、それとも監督のセンスに難があったのか?
この映画の中で絶対に不要でエクソシストものを台無しにしているのが、教会内での権力争いというか派閥の描写だ。あんなもん要らんだろ。ホラーを観たいって人に教会内のゴタゴタなんてどうだっていいわ。これって原作にもあったのかね? きっと脚本だろうな。
次にガックリしちゃったのが映画の後半全部。もうホラー映画じゃなくって、アクションバトル映画だ。だったら徹底的に振り切った方がよっぽど斬新な映画に仕上がったと思うな。例えば、ラッセル・クロウにもっと身体を絞らせて、筋肉神父って設定にして、悪魔だろうがなんだろうが殴るわ殴るわとにかく殴り続けて祓い落とすってのはどうよ?
とにかくこの映画は駄作だ。腹が立つほどくだらない。
そう言えば今年(2023年)エクソシストという名作を生みだしたウィリアム・フリードキン監督が亡くなった。その年にこの映画は……無性に腹が立った。




