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第35話 エクソシスト3

 第34話の中で、「ぼくのエリ200歳の少女」という映画の原作者が脚本まで書いていて、ちょっと聞いた事がない、と言ったのだが、もっと凄い奴がいた。この映画ーー「エクソシスト3」の原作者だ。

 なんと原作者が脚本書いただけでなく監督までやりやがった。


 実は俺は、この映画を最近まで観ていなかった。

 エクソシストという映画の大大大大ファンの俺はーー第6話で感想も書いているのだが、結構昔に「エクソシスト2」は観た。きっと凄い作品だろうと期待して……だが「ギョエェェェェェ…なんだこりゃ~~、ホラーじゃねぇよ」って愕然としちまい、そのせいで「エクソシスト3」も「どうせ……」てな感じで観ていなかったのだ。

 ちなみに「エクソシスト2」はサイエンス・ファンタジーだとの評価もあるらしいが…


 そんな俺がなぜ「エクソシスト3」を観る気になったのかというと、「エクソシスト」の原作者ーー「小説 エクソシスト」を執筆したウィリアム・ピーター・ブラッティが「エクソシスト2」を観た結果…


「バッキャロー!! こったらエクソシストがある訳ねぇだろ!! ふざけんなクソッタレが!!」


 って激怒して自らメガホンを撮った作品が「エクソシスト3」だと最近知ったからだ。


 確かにこの御仁、自分が執筆した「小説 エクソシスト」がベストセラーになった事に気を良くしたのか、「だれかーー! 俺の小説を映画にしてくれー!」って叫び続けたんじゃないかと思うほどに映画化に拘ってたようだ。

 そして続編と銘打って製作された「エクソシスト2」はリンダ・ブレアがリーガン役を演じていて「あれから4年後…」ってな設定なもんだから誰が観ても聞いても「続編」だ。

 だが「エクソシスト2」には原作がない。いきなり脚本なのだ。要はオリジナル映画だ。

 エクソシスト2が出来の良いホラー映画であれば……いやそれでもこの御仁ーーウィリアム・ピーター・ブラッティは「俺が本家エクソシストだ!」って言いそうなのだが……そう考えると良かったんじゃね? 世間の人もウィリアム・ピーター・ブラッティ氏が満を持して「エクソシスト3」を製作って報道に歓喜したろうから。


 俺だって「エクソシスト2」には愕然しちまったけど、それにしても怒りに任せながらも真の続編である「小説 Legion」を書き上げ、映画の為に脚本にして、更にはメガホンまで執って、「これが正当なる続編様だ!! 頭が高ぁーーい! 控えろ!!」って……物凄くエネルギッシュな人だよね。ある意味こいつがとり憑かれてた?

 ちなみにウィリアム・ピーター・ブラッティが執筆した「legion」だが、一般的にはローマ軍団とか軍団兵という意味なのだが、新約聖書に登場する悪霊の名前だ。


 この映画ーー「エクソシスト3」は1990年製作のアメリカ映画だ。

 監督であり脚本も書いて原作者であるウィリアム・ピーター・ブラッティは、前作の「エクソシスト」の原作者でもあるのは何度も書いたが、その「小説エクソシスト」の登場人物の中でキンダーマン警部が最も気に入っていたキャラクターだったそうで、そのキンダーマン警部が「エクソシスト3」の主人公だ。それってちょっとビックリ。俺なんて「エクソシスト」に登場していたキンダーマン警部って、正直「あ~~、そういえばカラス神父とグラウンドで喋ってた警部がいたような気がするけど、あれがキンダーマン警部か?」てなぐあいに名前と顔が一致しない登場人物の一人だぞ。執筆者が最も気に入っていたキャラクターってほどクローズアップされていなかったような気がするが……

 調べてみて驚いた、「エクソシスト」のキンダーマン警部役は「十二人の怒れる男」に出演していたリー・J・コップだ。いや~~そうだったっけ? マジで彼がキンダーマン警部役だった? なぜか覚えてない。

 リー・J・コップは1976年に心臓発作で亡くなっているので「エクソシスト3」でのキンダーマン警部はジョージ・C・スコットが演じている。

 ジョージ・C・スコットと言えば、1970年のアメリカ映画「パットン大戦車軍団」でパットン将軍を演じ、アカデミー賞主演男優賞を獲得したオスカー俳優だが、さすがにパットン大戦車軍団なる戦争映画を観たことがある人はあまり多くはないだろうし、俺も観てない。だがジョーージ・C・スコットの写真を見れば「あ~~このオッサン知ってる」って人は多いはず。


 ジョージ・C・スコット演じるキンダーマン警部なのだが、一切笑ったりせずにいつも強烈に渋い表情をしているのだが台詞が妙に面白いって言うかちょっとコミカルなんだよね……これってどーなんだろう? 個人的に俺は好きだよ。クソ真面目な顔した初老のオッサンがニコリともしないで笑かしてくれるってのわ。でもさ~~エクソシストだぜ、エクソシスト。笑いを取りにきてどーすんだべ?

 ちなみにキンダーマン警部はコイが嫌いらしい。

 嫁の母親がコイ料理を食わせる為に「生きたコイ」を持参して遊びにきているらしいのだが、家に帰ると水槽で泳いでいるコイがエラをぱくぱくさせながら出迎えてくれる姿が無性に気持ち悪くて嫌いなんだと友人に力説していたのだが、俺は「キンダーマン警部がコイが嫌いだ」ってのを忘れられなくなっちまったのだが、これってエクソシスト系の映画に必要なエピソードなのか~?


 そんでもって笑っちまったのは「エクソシスト」でカラス神父を演じたジェイソン・ミラーが出演している事だ。彼はエクソシストのカラス神父役に自ら立候補してその役を勝ち取ってんだよね。「僕は神学校も出てるし、誰よりもカラス神父役に適任だ」とかなんとか言って。

 カラス神父ってエクソシストのエンディングで死んでるじゃん。それから15年後が「エクソシスト3」の設定なんだけど、15年前にカラス神父が死んだ時に、死刑執行された殺人鬼の魂が悪霊となってカラス神父の身体に入り込んだ、って設定。そうなんです、ジェイソン・ミラーが悪霊役なんです。ギャハハハハ、神学校出て「悪魔祓いをする神父役は僕しか適任者はいない!!」って豪語してたら今度は悪霊だって。笑かしてくれるぜ。ギャハハハハハハ。でも第6話にも書いたんだけど、ジェイソン・ミラーってエクソシストの時も異様に顔色が悪くてーーほとんど土色ーー実はお前が悪魔なんじゃねぇの? って思われる雰囲気バリバリ醸し出してたし、「エクソシスト3」で悪霊に身体を乗っ取られた役の方が断然ピッタリだと俺は思ったね。


 っで悪霊に身体を乗っ取られているカラス神父とキンダーマン警部が対決するんだけど、悪霊カラス神父が「今に至るまですんげー大変だったんだ」て愚痴るんだよね。何が大変だったのかは次の通りだ。



 俺様は死んだカラス神父の身体に入り込んだんだ。

 だがカラス神父の身体は当たり前に死んじまってるから脳もダメになっていやがった。

 そんなもんだから身体を乗っ取ったのは良いが、その身体が動かないときたもんだ。

 その内に棺桶ごと埋められちまったのよ、俺様わ。

 ようやっと身体を動かせるようになったんだが、埋められちまった棺桶からの脱出が大変だったんだぞ。

 苦労のかいあって脱出には成功したんだが脳の一部がやっぱりダメなまんまよ。

 ダメになった脳の一部を再生させるのに俺様は頑張ったんだ! …15年間も。



 悪霊カラス神父の愚痴は大体こんなもんだったはずだが、なんなんだろうね? 悪霊の苦労話?



 う~~~ん、「エクソシスト3」は……「エクソシスト2」よりはマシなのかな~~。微妙だ…

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