第3話 死霊の盆踊り
この映画は一応はホラーに分類されている、と思われるが、別の意味で恐ろしい映画だ。
よくB級映画とかC級映画とかの評価を浴びた作品は星の数ほどあるが、この「死霊の盆踊り」はそんな中途半端な評価など突き抜けた「Z級」だ。
1965年に公開されたアメリカ映画で、監督は誰でキャストは…など「どーーだっていいわ!」と叫ぶほど、とにかくクダラナイに尽きる映画なのだ。
日本では1987年劇場公開されーーその当時、金を払ってまで観に行った不幸な人がどれほどいたのか不明だが、2019年にリバイバル公開までされた恐ろしい映画だ。
かくいう俺も実はこの突き抜けた映画を3~4回も視聴した。何故かというと、何度視聴しても最後まで観たことがないからだ。毎回「このクソ映画はどんな終わり方をしてるんだ? 今度こそエンディングまで観るぞ!」と息巻いて観始めるのだがその都度「……もういい」とリタイヤしてしまう。
原題は「Orgy of the Dead」で直訳すると「死者たちの乱交」だそうで、ただのホラーではなくエロティックホラーなのだが、日本でリバイバル公開された際には「G指定(全年齢視聴可能)」というエロにすら認定されていない。
原題の「死者たちの乱交」が邦題では「死霊の盆踊り」。
邦題をつける人は一応その映画を視聴して「どんなネーミングがピッタリと当てはまるのだろう」とアイデアを絞るのだろうが、乱交というワードを完全削除しているのが凄い。そうなのだ、乱交シーンなどまるで出てこない映画なのだ。俺は先にも記載した通り最後まで観てはいないのだが、途中まで観た上で、「あの流れで乱交場面など絶対にない」と断言できる。
しかし邦題つけた人はこの映画を最後まで観たのだろう。すげーな、尊敬する。
ちなみに原題とは違ったネーミング、いわゆる邦題をつける場合、その映画の監督に事前に報告がなされると聞いた事がある。その際、欧米人の監督の中には、漢字を使った題名を非常に喜ぶ人が多いとも聞いた。ホラー映画に「死霊」という漢字を使った邦題が多いが、もしかすると欧米人にとって「死霊」という漢字が「どんな意味だか知らんがカッコエエ文字じゃねえかよ」てな具合なのかもしれない。
話を戻すがこの映画の邦題「死霊の盆踊り」って、やっぱり凄い邦題だよね。盆踊りだぜ盆踊り。日本人でなければ盆踊りなんて知らんだろ。監督もこの邦題を聞いて「ボン…オドリーー??」だったのか、それとも「盆踊り」の字体が妙に気に入っていたのか、ちょっと気になる。
映画の内容について触れるが、3~4回も視聴したわりにはあまり覚えていないのだ、実は。そもそもストーリーなんてあったのかも不明。墓地で蘇った死者たち、それも女ばっかりだったような気がするが、その死者たちが墓地で一人ずつ順番に踊るのだ。それもパンツ一枚だったりして必要以上に肌を露出してだ。なぜ一人ずつなのか? なんのために踊るのか? どうして裸に近い恰好なのか? そんな疑問を持つ人も多いと思うが、俺にもサッパリだ。
日本人の中で次のように考えている人達は多い。
「欧米人ってダンスが好きで上手だよね。やっぱりリズム感が日本人とは違うんだよね~」
しかしこの映画で踊る蘇った死者役の女優の中には、脂肪がいっぱいついちゃって色んなところが垂れているんだけどセクシーであろうと身体をクネラせながらのダンスなのだが、まるで音楽にあっておらず、ステップも、ズンドコドッコイ、ってな感じでドスドス踊る女優もいて、ウソだろ、これでOK出したの? アメリカだったら女優なんて他にいくらでもいるだろ、だけどこの女優の堂々とした踊りっぷりは凄いな、と妙に感心したりもした。
この映画は腹が立つほど面白くない。しかし今度こそエンディングまで観るぞ。