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第19話 連続ドラマ NIGHT HEAD(ナイトヘッド)

 1992年から1993年にかけてフジテレビ系列の深夜枠で放送された30分ドラマで、原作・監督とも飯田譲治ときたもんだから俺は大好きなんだ! 

 最近ではファミリー劇場などで「一気見」放送されることもあるから、30年前のドラマなんだけど意外と知ってる人が多いのかもしれない。だけど大ファンな俺は、そんなテレビ局の都合で放映されるものを視聴するのでは当然収まる訳がなくって、観たい時に観れるようDVDBOXを買った。そうなのだ、俺はいつでも観れるのさ、どうよ。ちなみにこのDVDは未だにレンタルはなされていないんだぜ。だが最終話の劇場版は入っていねぇ…トホホホ…


 このドラマ、もともとは「世にも奇妙な物語」で飯田譲治が脚本・演出で放送された「常識酒場」がそのままーー出演者は違うがーーナイトヘッドの第一話となっている。

 深夜枠ーー確か夜中の12時30分頃からの放送ーーそんな時間帯にどんなスポンサーが付いたのか不明だが、当たり前に低予算のB級ホラーだったはずが、低予算であったがために異様な迫力のある映像に仕上がっていて、ストーリーも従来の「超能力はカッコ良くて、持っている人間はヒーローだぜ!」てな概念を打ち壊し、「超能力を持っているヤツは化け物として世間から迫害される」って設定。


 そんな設定や迫力映像、更には兄弟役で主演を務めた豊川悦司(30歳)と武田真治(20歳)ーー二人とも若くて物凄く綺麗な顔をしているせいもあって、どんどん人気が出てきて、しまいには「最終話は映画館で」ってな事になった珍しいドラマ。

 俺は当時、何の気なしに夜中にテレビを観ていたら偶然にもこのドラマをやっていて「なんだこれは??!! スゲーーー!」って大ハマリ。

 ちなみにこのドラマ、メインの原作・監督は飯田譲治なんだけど、全話の内3分の1くらいは脚本・演出を飯田譲治以外の人が担っている。そんなせいもあってストーリーに幅が広いのだと思う。


 蛇足だが、大ヒット海外ドラマ「スパーナチュラル」のDVDが日本でレンタル開始前に盛んに宣伝していたのを覚えているのだが、企画・製作総指揮・脚本のエリック・クリブキは「日本ドラマのナイトヘッドから兄弟が超常現象を解決していくストーリーの着想を得た」と言っていた。


 話をナイトヘッドに戻すが、兄:霧原直人ーー豊川悦司、弟:霧原直也ーー武田真治が主役で、直人がサイキック能力、直也がリーディング能力を持った超能力者ーー化け物なのだが、兄:直人がマインドコントロール能力を持った奴と闘うシーンは、まるで異種格闘技のようで極めて斬新でなおかつ迫力があった。

 ただ非常に残念なのはーーこれは制作初期の低予算が大きく影響していたのだろうが、「誰これ?」って出演者が多く、特に強烈なのは「双海翔子」役の女優と「岬老人」役の男優だ。


 先ずは双海翔子なのだが極めて重要な役どころで、ドラマのかなり最初の方から出演していて、確か最終話まで出てくるのだが、そんな役を演じている女優が、大変失礼なのだが全然カワイクもなければ美人でもなく、演技は棒なんてもんじゃない。俺などは素人を使ったのかと思ったが、素人だってもっとかわいい女の子はいくらだっているよな、と最後まで納得がいかなかった。

 ちなみに山口リエという女優? らしいが他のドラマや映画では見たことがないから調べてみた。CMでデビューして初のドラマ出演がナイトヘッドだったようで、その後も色々なドラマなどテレビ番組に出演していたらしい。例えば「タモリの超ボキャブラ天国」や「世界ウルルン滞在記」などがそうなのだが、絶対に日本国民の大半が覚えていないだろう女優さん。いや~~予算がなかったにしても、なんとか出来んかったかな~。


 次に「岬老人」だ。これってよくよく考えると変な呼び方だよな。普通「〇〇老人」なんて呼び方しねぇよな。でもドラマの中で直人も直也も「岬さん」ではなくて「岬老人」って言ってんだよね。まぁそれは置いといて、この老人役やってた人っていったい誰なんだろう? 「本物の老人をどっかから連れてきた」みたいな感じがする。稲葉松雄っていう人が演じていたらしいのだが俺は絶対にあんな俳優見た事がない。普通のどこにでもいる爺さんだろ。それが「あり」のドラマだったんだよな、最初の方は。というのも「Y」っていう正体不明で物凄く不気味な男に直人と直也は付き纏われるんだけど、この「Y」を演じた人って俳優じゃなくって、確か小道具さんだったか…とにかく裏方さんだったはずで、飯田譲治が「君、いいキャラしてるな。僕がイメージするYにぴったりかもしれない」ってんで強引に出演させられたはず。そんなんだから「岬老人」役の稲葉松雄って人も、もしかすると偶然テレビ局前を歩いていたどっかの爺さんだったのかもしれないーーこれって俺の勝手な想像だから本物の俳優だったら失礼このうえない話なんだけど、大してセリフもなくって、ほんと枯れた爺さんだったからな~。


 だけど回か進むにつれて視聴率も上がったせいなのか、知ってる俳優陣が出演するようになってきた。例えば、篠原涼子、小木茂光、六平直政、松重豊、今福将雄、渡辺いっけい…などがそうなのだが、双海翔子役の女優、途中で替えちゃっても良かったんじゃね?


 ここでドラマ版のナイトヘッドの構成について触れるが、ちょっと変わったドラマ構成になっている。

 1話完結で全部で21話で構成されているのいだが、多くのエピソードには繋がりが無く、それぞれが独立した物語なのだ。要は1話ごとに起承転結があり、それぞれの物語に主人公がいて、直人と直也はその主人公が直面しているスピチュアルな問題に、まるで偶然通り掛かった者ののような形で関わっていく話が多い。その中で直人と直也の抱えている問題や、何故このような忌々しい力を持って生まれ、その力を持った者の使命とは…というものを少しずつ理解していくといった兄弟の成長を描いた物語だ。

 そしてこのドラマが劇場版を経て一応の完結となった後に、飯田譲治氏は小説版ナイトヘッドを出版ーーナイトヘッドを1本の物語に纏めなおした小説の為に、カットしたエピソードもあるし、人物描写や心情面を掘り下げ、追加したエピソードもある。特に直人と直也が子供の頃に強制的に入れられていた施設での出来事がより詳しく描かれていて、この小説版を基にアニメ化がなされたようだ。俺は小説は全て持っているがアニメは観たことがないので伝聞。

 併せてだが昨年ーー2021年に「ナイトヘッド2041」というアニメが脚本:飯田譲治で放映されたらしい。


 ドラマ版ナイトヘッドのエピソードで非常に強い印象が残っているのが「第7話NIGHTMARE(悪夢)」だ。

 ちょっと簡単にストーリーを説明するが、兄の直人はサイコキネキスという暴力的な能力を持っているがその能力を制御する事もできると「自分に自信を持っている」ふしがあるが、弟の直也はリーディング能力を未だに制御できずに他人の思考が勝手に流れ込んできてはパニックになるなど、「俺が守らなければ弟は生きていけない」と当たり前に思っている。

 だがその能力のせいで両親からも化け物扱いされ、世間から隔離されて育ってきたため、「こんな能力さえなけば普通のヤツらと同じように暮らせたのに…」との思いも強く、そう考えると弟の存在が厄介なものにも思えてくる。そんな事を喫茶店で何気なく考えていた時に、目の前にいたはずの弟:直也の姿が消え、突然に現実となった生活ーー友香という女との新婚生活を営んでいる自分に違和感を抱きつつもサラリーマンとして会社に向かう生活に馴染み始める。まるで弟:直也など最初から存在していないかのように。

 しかし直人は「いたはずだ…直也…弟の直也はどこにいる? この世界はいったい何なんだ!」と気づき、自分の妻だと名乗る友香に詰問をする。そこで友香は言う。


「あなたが望んだ世界を私が造ってあげたの。あなたは直也さんの事…いなければいいのにって思ったでしょ。だからその望みを叶えたのよ。私もあなたと同じように力を持っているの。あなたとだったらきっと幸せになれる……この世界を選んで!」


 だが直人はその世界を拒絶する。すると目の前にはハンバーガーに食らいついている直也が現れる。そして直人は改めて気が付く。自分がいなければ弟:直也は生きていけないだろうと考えていた。それは一方的な庇護の関係であり煩わしく感じる事もあった。だがそうではなく、自分も直也に依存している弱い部分があり、直也がいない世界など考えられないと。店の外に目をやると友香が泣いていた。


 そんなストーリーで、友香役を演じたのは宝塚歌劇団 元星組娘役スターの青山雪奈。AV女優の青山雪菜ではありません。ネットに名前を入力して検索したらビックリした。放送禁止用語の四文字がずらり出てきて、「おいおいおい、青山雪菜ってナイトヘッドに出演以降は鳴かず飛ばずで、ついには本番女優になったのか?!」って思っちまったのだが違った。

 とにかくナイトヘッドに出演した当時の青山雪菜は美人だ! 流石に元宝塚だ! って感じだし、娘役スターだったから長身でもなくって…ちなみに宝塚の同期には天海祐希がいるらしいが彼女は月組だったから絡みはなかったのだろうな。


 話をナイトヘッドに戻すが、このドラマに出演している女優って「この人は美人だよね」とか「すっげーかわいい」って人があまりいないのが特徴で、劇場版に重要な役どころで出演した小島聖もーーこれはファンの人には悪いのだが、全然カワイクないし、すっげー芋ねぇちゃんだし、俺は「なんでこの人起用したの?」って今でも疑問。ただ、その後、実生活では豊川悦司と結婚寸前までいくんだよね。俺の趣味が悪いのか、トヨエツの趣味が悪いのか…

 とにかくそんな女優陣の中で青山雪菜は絶品だった。


 最後に追記するが、ナイトヘッドのサイドストーリーが1992年12月ーーこれってドラマ版がまだ放映されている時期なんだけど1時間ドラマとして放映されているんだよね。

 霧原兄弟ーー豊川悦司と武田真治は確かエンディングで走り去って行く後ろ姿が映るだけで本編にはほとんど登場しないという変わった構成だ。

 そしてなんといってもオーム真理教や麻原彰晃を明らかにモデルにしたトンデモ教団が出てきて、その教団を霧原兄弟がぶっこわしちゃうって感じのエンディングなんだよね。でも地下鉄サリン事件って1995年なんだよな。確かに当時は社会問題化していたけど、まだ犯罪が明らかになっていない時期にこのドラマは、いや~~攻めてるわ。



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