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第17話 おみおくりの作法

 2013年制作のイギリス映画だ。

 前にも書いたがイギリス映画は淡々とした作品が多くーーこの映画もそうで、ハリウッド作品が好みの人にはかなり退屈な印象を受けるのだろうな。


 この映画の監督・脚本はウベルト・パゾリーニという人で、彼が新聞ーーもしかしたら雑誌かもしれないーーの「孤独死した人の葬儀を行う仕事」に関する記事から着想を得て、ロンドン市内の民生委員に同行しながら取材を続けて完成した作品だ。


 ちなみにこの映画は日本でリメイクされ今年ーー2022年9月に公開されるらしい。題名は「アイアムまきもと」で主演は阿部サダヲだ。

 うん、たしかにイギリス映画の淡々とした流れは日本映画でも共通点はあるのだが、どうなんだろう…失敗作にならなければ良いのだが。

 元のイギリス映画も一応はコメディー映画に分類されるのだろうが、けっしてゲラゲラ笑えるような作品ではない。それをリメイクするのが「謝罪の王様」や「舞妓Haaaan!!!」でコンビを組んだ監督:水田伸生と主演:阿部サダヲだ。う~~ん……観たいような、観たくないような。

 今度書こうと思っている「イタリア映画の大人の事情」ってコメディー映画なのだが、本当に面白い設定で出演者全員の演技力も凄くて、世界で最も多くリメイクされた映画としてギネスに登録されているのだが、日本でもリメイクされたのは良いが強烈な駄作に化けていてビックリした。とにかくそうならないことを願う。


 話を「おみおくりの作法」に戻すが原題は「Still Life」だ。

 静止画というような意味で使われることが多い言葉だが、「Life」という単語から人生とか生活という意味に重きを置いた言葉として使用したのだろう。おそらくは「静かな人生」という意味の題名だと思うし、この映画を観た感想としては「おみおくりの作法」という題名も悪くはないのだが、そういった作品ではないと思うし、原題を直訳した邦題の方が作品にマッチしたのではないか、と思う。


 ストーリーはロンドンのある地区で民生係で働く中年男性が主人公なのだが、きっと公務員なんだろうと思って観ていたのだが人員削減でリストラされるんだよね。公務員じゃないのだろうか? それともイギリスの公務員って普通にリストラってあるのだろうか?

 まぁそれは置いておいて、この民生委員の仕事っていうのが孤独死した人の部屋に行って、様々な持ち物ーーアルバムとか手紙など個人情報ーー死んだ人の情報は日本では個人情報に当たらないからイギリスでも同じだと思うが、それらの物から親・兄弟・親戚や友人などを探し出して、何とか葬儀を出してくれそうな人を探していくという仕事なんだけど、やっぱり死ぬまで一人で暮らしている人だから、縁故の人がみつかっても葬儀に参列しましょうって人はいなくって、結局は神父以外は誰もいない教会での葬儀の中で、彼が知りえた情報から作った弔辞を彼自身が読んで見送るんだよね。

 そんな仕事なんだけど生真面目な彼--主人公は1件1件の仕事に相当な時間を費やすもんだから上司から疎まれてリストラの憂き目に合う。

 そして彼自身が生真面目な性格が災いしてなのか独身であり、そんな境遇が「なんとか身内を探し出して、死の旅路へ送り出す時ぐらいは孤独ではないようにしてあげたい」って思いが強かったのだろう。


 リストラされて最後の仕事に彼は相当にがんばるんだよね。そして孤独死した人の知り合いを探しにイギリス中を旅する事になって、ようやっと見つけ出すの。「死んだことを知らせてくれてありがとう」と言ってくれた一人の女性を。そして彼女が葬儀に参列しますと言ってくれるのだけれど、必ずしもハッピーエンドでは終わらない。


 最後のシーンはグっとくる。

 俺は不覚にも泣いた。

 うん、すごくいい終わり方なんだけど…

 とても可哀そうな終わり方でもあって、

 だけど、ああ…よかったね、って言ってあげたくなる終わりかたで、隣で一緒に視聴していた嫁と二で俺は泣いた。


 すごくいい映画だった。そんな事もあって日本でのリメイクされた作品の出来が悪かったら、かなり頭にきそう。



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