モヤっとします
32話に出てきたルーイの婚約者候補の名前がやっと出ます
ルーイ様とランゲ公爵令嬢クラーラ様が隣国の式典に出席されるそうです。 クラーラ様はルーイ様と同じ18歳で、三人いらっしゃった婚約者候補としてはルーイ様に一番近しいと噂されている御方です。
そうです、三人『いらっしゃる』ではなく『いらっしゃった』のです。
つい先日、婚約者候補のお一人の侯爵令嬢レベッカ様とランゲ公爵令息のダニエル様が電撃婚約されたのです。
ルーイ様は婚約者候補の方たちと個別ではなく、何時も三人ご一緒に交流されていたそうです。
ある日のお茶会終了後、クラーラ様をお迎えに来られたダニエル様がレベッカ様に一目惚れされたという事です。
本来であれば王太子妃候補であるレベッカ様に恋慕するなど有り得ない事ですが、レベッカ様とクラーラ様が大変仲がよろしかった事と、国王陛下がお認めになられた事で無事婚約の運びとなりました。
陛下は『王太子が三人ともに妃として娶れる訳ではない。 とすれば残る二人の幸せを犠牲にする事にならないよう配慮せよ』と仰られたそうです。
今日から最終学年の授業開始ということでミアは張り切って私の髪をセットしてくれています。
「隣国で転生者様が覚醒されたそうです。 それでその方を王家が保護する為に婚姻される様です」
そのお披露目の式典にルーイ様が国王陛下の代理で出席されるのですね。
午前中の授業も終わりお昼御飯を食堂でウシーとエミィの三人でいただいています。
食堂といっても上位貴族の子女が通う学園なので、一流レストラン並みのお料理を給仕の方がサーブしてくれます。
「王太子殿下とクラーラ様は本日早朝に隣国に出立された様です」
ウシーは私に気を使いながらも、カール様からお聞きになった情報を教えてくれました。
王妃様が体調不良の為に王太子殿下が代理で出席される事、パートナーを伴った舞踏会もある為にクラーラ様が同伴されるといった内容です。
「『王太子殿下はリーゼロッテ嬢の事しか考えていないので気にしない様にね』とカール様は仰っていましたわ」
ウシーはそう言ってくれるのですが、やっぱりモヤっとしますわね。
もともとルーイ様とクラーラ様は大変お似合いでしたものね。 幼かった頃にクラーラ様に張り合おうと背伸びした結果があれでしたからモヤっとするのは当たり前ですわよね。
因みに隣国の転生者は21歳の男性で前世はお医者様だそうです。 知識は大変有用ですわよね、王家が取り込もうとする筈ですわね。
王妃様の体調不良はお月さまの後書きに書いたアレです
国王陛下はお月さまでは情けないキャラですが、普段は出来る男です
本編終了しましたので手直ししました
(2022年4月13日、2025年2月21日)