悪役令嬢ですか?
テンプレ、テンプレ
国王陛下からの呼び出しなので正装に準ずる服装に着替えるらしいです。
「この世界のマナーが判らないので不安です」
エマに着替えを手伝って貰いながら相談中です。
「大丈夫かと。 ロッテ様の所作はリーゼロッテ様程ではないですが、美しいと思いますよ」
異世界転生小説にあるあるの中世ヨーロッパ風の服とは違うみたい。 パニエでスカートを膨らませたロングワンピースだけどコルセットできつく絞めたりしないので割と動きやすいな。
リーゼロッテちゃんのボン・キュッ・ボンは自前なのね。 体型維持とか大変そう。
「ロッテ様は言葉使いも丁寧ですね。 話に聞くテンセイシャ様たちの中には勘違いした『ヒロイン』とか自称される方も居られたみたいで心配しておりましたが、ロッテ様は違うみたいで安心致しました」
『自称ヒロイン』ちゃんって……乙女ゲームのやりすぎでしょう。 ざまぁ街道まっしぐらだよね。
髪をハーフアップにして軽くお化粧してもらって完璧美少女のできあがり!
玄関ホールではお父様とお母様がすでに仕度を終えて待っていてくれました。 お母様のドレス姿もお父様のフロックコート姿も眼福です。
「おお、やっぱり我が家の娘は天使だな」
はい、お父様親バカ全開です。
「お待たせいたしました。 ところで私は謁見するときのマナーを知らないのですが、どういたしましょうか?」
エマは大丈夫って言ってくれたけど、お父様たちにも確認してみました。
「大丈夫よ。 転生者はマナーが違うことは了承済みの事なので、よほど酷いことを仕出かさない限りは不敬は問われませんよ」
『それにまぁ、ソフィー様が……』とお母様が小さな声で呟かれていますが、よく聞き取れませんでした。 ソフィー様って何方でしょうね?
お母様の返事にとりあえずは一安心? それでは王城にLet's Go!
転移門を使うのかと思ってわくわくしていたのに違っていて、馬車で移動でした。 残念。
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「リロはまだ着かないのか!」
やたらと煌煌しいイケメンが叫んだところに報告が入る。
「ヴィッテルスバッハ御一行到着です」
長い廊下を抜けてたどり着いた大きな扉。
「ヴィッテルスバッハ御一行到着です」と衛兵が告げると両開きの扉が開きました。
軽く礼をした(草の礼ね)まま進んで御前で真の礼をとりました。 隣のお母様たちを見る余裕なんてないので自分の中で最上級の礼儀です、ハイ。
「楽にせよ」と声をかけられたので、セーフだったよね?
お父様、お母様が拝謁の口上を述べた後、私が転生者であったとの報告を簡単に告げました。 あら、書記の方が記録を取っていらっしゃるのね。
その後、場所を移してお茶をいただきながら話をする事になりました。 転生者である私に配慮してらしいです。
「先程クラウスからも報告を受けたがリーゼロッテ嬢は転生者であったとか」
王様にそう問われたので、何と答えれば良いのか解らず助けを求めてお父様を見ましたが、頷かれたので直答しました。
「はい、左様でございます。 今朝眼が覚めたときに、それまでの『リーゼロッテ』としての記憶がなく、代わりに此処ではない世界の記憶がありました」
私の答えに国王陛下以外の方が大きく反応されました。
「リーゼロッテの記憶がないだとっ!?」
煌煌イケメンが叫びましたが、 えっと……このヒト誰だろう?
「全く記憶がございません」そう自分で答えたくせに、政治家の答弁みたいだなと笑いそうになっちゃいました。
「落ち着きなさいルーイ、転生者には良くあることでしょう」
王妃様は大変美しい所作で音もなくカップを置きながら注意されました。 ルーイって名前なのね、このヒト。
「婚約者である私の事も忘れているのか?」
イケメンのルーイ君の爆弾発言に頭が真っ白になりました。
―――え、私って悪役令嬢なの!?
もう一本の方よりこっちが楽しい
少し手直ししました(2022年1月16日、2024年12月22日)
内容は特に変わっていません。
本編終了しましたので手直し中です
主人公の性格に合わせて文体を手直ししています
リーゼロッテの前世の話を投稿しています
https://ncode.syosetu.com/n9399hn/