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高校2年の冬、僕は人を殺した。  作者: 小西行長
2章  No.15 詩人 ①共犯者
9/16

役者H 人格者 亜門晴明

「話を聞いてもいいか。」

 神﨑は、真面目そうな中年の男に声をかける。



「いいとも、で、何が聞きたいんだい。」

「ああ、事件のことなんだが」

「なるほど、君がみんなが噂していた変人か。よろしく。」


 

 神﨑は、目の前に出てきた手を握り、要件を伝えた。結婚しているのだろう。婚約指輪が太陽に照らされて、光っていた。



「ああ、実は……。」



 事情を説明すると、神妙な顔で彼は話し始めた。



「ここだけの話、もしかすると、犯人は小鳥遊さんかもしれない。」

「どうして、だ。」

「実は、見たんだよ。その日、雨宮警視総監と話している小鳥遊さんを。ちょうど、事件の5分前に。」



「何を話していたか、分かるか?」

「いや、捜査1課が終わったばかりの時に彼を見たんだけど、普段の笑顔ではなくて……。」

「なるほど、な。」



 少し悲しそうな目つきの彼は、ポツリと呟いた。



「どちらにせよ、警部の中にそんなことをするやつがいるなんて、悲しいよ。雨宮警視総監には、役に立たなかった新人時代からお世話になっているから、ね。」

 雲が太陽をかくし、森に涼しい風が吹き抜けた。



「おい、天笠、観音寺、ちょっと時間があるか?」

 高そうな腕時計ごと手を引っ張ったので、天笠は顔をしかめていた。が、観音寺は笑顔で、まあまあと、さとしていた。



「あの後、警部に話しを聞いて回っていた。」

「それで?」



 その程度のことで呼び出したのかと、天笠は神﨑を睨んで言った。

「ああ、それで聞きたいんだが、お前達は数年前に起こった事件のことを知っているか?」

「いや、何のことだ。」

 


 やはり、か。神﨑は、1つの推測をたてる。小鳥遊の素顔は……。

「ならいい。」

 神﨑は、沈黙のあと、そう告げた。



「おい、どういうことか、説明しろ。」

「すまない、今日は帰る。」



 タバコをふかしながら帰る彼に、天笠と観音寺は何か怪しいものを感じていた。まるで、身体に悪魔を宿しているような。

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