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高校2年の冬、僕は人を殺した。  作者: 小西行長
2章  No.15 詩人 ①共犯者
11/16

警部の中の共犯者

「くそ、あいつはあれから何してやがる。」



 小石を蹴りあげる。近くを流れる用水路にポチャンと落ちた。神﨑が来なくなってから、1週間。



 事件は進歩を迎えるどころか、新たに発生してしまう。そのことに、天笠は苛立ちを隠せていない様子だった。



「天笠さん。落ち着いてください。神﨑さんのことです。きっと何か考えがあっての行動です。」

「だから、だよ。なんで、俺たちに教えないんだ。」



「あなた達を信用できないでいる、それが答えだと思います、が。」



 小鳥遊が、突然、天笠に噛みついたからこそ、場は凍りついた。普段、大人しい小鳥遊が、あまりにも冷たい声で言ったからである。



「長年付き合ってきた俺たちですら分からないあの男のこと、お前に何が分かる。」

 天笠は、そのことへの最後の否定材料を使う。神﨑は、捜査1課にいなくなってから、みるみるうちに変わっていった。



 なんだか、前よりも温かみがなく、冷酷な男になっている気がする。



 神﨑を信じている天笠にとっては、複雑な気分であった。でも、誰にも悟られたくない。その逆鱗を小鳥遊は、逆撫でしたのだった。



「いえ、あの男は、僕に話しかけていた時、僕を熱心に見ているふりをしていました。でも、会話自体に、興味なんてなかった。」

「なんで、分かる!!」

 天笠が少し、怒った口調で言う。怯まず、小鳥遊は言い返す。


「鑑識のファイルの情報を一通り見て、嘘がないか、チェックしていた。僕と話す前、覗きこむようにして、しばらくその情報を見ていたんだ。」



「それは、分からないだろ。お前の、憶測に過ぎない……。」

「いえ、それに……。」

 


 あくびをしながら、神﨑はその場に来た。そんな姿が、なぜか許せない。天笠が胸ぐらをつかむ。



「何してたんだよ!!」

「犯人が分かった。離せ。」

「そういう問題じゃない!!」

「離せ。」



「なんで、俺と向き合ってくれないんだ。前みたいに、本心から笑えよ。」

 涙ぐみ、天笠は言う。複雑そうに、神﨑は笑った。その姿を見て、天笠が手を離す。



 その瞬間、神﨑は銃のトリガーをある男に向けた。

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