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高校2年の冬、僕は人を殺した。  作者: 小西行長
序章 殺人の始まり
1/16

初めての殺し。

 高校2年の冬、僕は人を殺した。初めてだった。



 寒い冬の午後だった。毛糸で編んだ手袋がほつれて、彼の胸には包丁がささっている。制服についた返り血は、きれいな赤色をしている。




「どうして。」



 涙ながらに聞いてくる彼に、心が動かされる。彼と僕は親友だった。まぎれもない親友だった。お互いの考えることは手に取るように分かるほどの。



「僕は、知らなかったんだ。」

「何を。」

 彼は精一杯の声をふりしぼる。口から、つばと一緒に血が出てくる。



「人にはね、あらがえない欲望がある。それは、人それぞれ個人差はある。でも、僕はその欲望が人には理解されないものだったんだ。」



 もう声も出ないようだ。肺からの呼吸音があらわになる。友人の僕を見る目は、恐怖に染まった暗い灰色だった。



「さようなら。」

 月明かりと街灯がまぶしい冬の午後、僕は人を殺した。


「さてと、話題になるといいなあ。」

 にやりと笑う彼の姿には以前の面影はない。アスファルトに染み込んだ赤いアイシテルの文字が、異色を放っている。



 制服を捨て、乗り込んだトラックで一服する。これが、ただの序章に過ぎないことも、天才の登場で状況が一転してしてしまうことも、今は分かるはずもない。


 粉雪がしとしと死体をぬらす。数分後、警察のファンファーレが聞こえた時には、彼はもういなかった。

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