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500文字程度の短編集  作者: 小夜
5/6

苔むした地蔵

「ここから飛び降りれば...」


下には私の身体をうち砕く岩肌が見える。

寄せる波が岩にぶつかり荒い水しぶきを立て豪快な音を立てる。


私は大きく息を吸い込んだ。

「怖くなんか、怖くなんかない」


自分にそう言い聞かせる。


私は崖の下をのぞいた。


すると岩のくぼみにある苔むした地蔵が目に入った。


「なんであんなところに」


私に気が付いた苔むした地蔵は穏やかな表情で私に語り掛ける。


私は心の赴くままに下に降りて地蔵のそばに座った。


苔むした地蔵は私に語り掛ける。

解けぬ永久の謎の投げかける。


「この海は穏やかだ。なのになぜ母と子の命を奪ったのか」


私は海に目を向ける。


とても穏やかだった。


波はきらきらと太陽の光を反射させる。

私は永遠に繰り返される波の動きを見て考えた。


しかし、いくら考えても答えは出てこなかった。


地蔵は私に問う。

「母と子はただ海が好きなだけだった。それなのに、なぜ海は牙をむいたのだ?」


いくら考えても

答えは出なかった。


気が付くと海は青から赤へと染まっていた。

太陽が水平線に沈もうとしている。


すると地蔵は「邪魔したね」と一言だけ言い

しゃべらなくなってしまった。



地蔵は今も人間を探している。


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