【第八話】崩壊編:動き出した者達
「あ、いたぞ、トモダチ」
黒いローブで身体を包んでいる人物。若干、今までのやつらと雰囲気が違うが。
「渡り廊下か。こっちの方に来てるな」
ちなみに、僕らは今、職員室の窓から外の様子を見ている。僕らの教室は2階にあり、行動がしにくいと判断したため、1階のこの部屋に移動したのだ。傍で男が気絶しているが、気にしない。
「にしても、なんだありゃ? リーダー格か?」
これまでのやつらのローブは、ただの真っ黒な布だったが、今、渡り廊下を歩いている『悪魔』のローブは、袖の部分や首周りの部分に銀色の刺繍がある。
「ま、下っ端だろうと幹部だろうと、『魔王』を見つける鍵を持ってれば関係ないさ」
「だな。行くか、秀」
「ああ」
暗い教室の中に一人、眼鏡をかけた少年が座っている。
彼の目の前にはパソコン。そう、ここはコンピュータ室。
その黒い画面には、白い文字が延々と並んでいる。数分してる間に、彼は目当てのものが見つかった。
パソコンの電源を切り、すぐさま行動を開始する。
彼は、彼の戦いを始めようとしていた。
「『悪魔』に話し合いを持ち込むとは、いい度胸だな、アァン?」
「質問に答えてもらおうか」
「あのな、指導者なんてのは簡単に教えられるわけねぇだろ、アァン?」
僕らは、渡り廊下を歩いていた『悪魔』と対峙している。
やはり、他のやつらと違う。服装だけではない。
どこか、『存在』そのものが違う。
「そういうのは、力尽くってのが相場だろうが。男ならかかってこいや、アァン?」
僕らは身構えた。
「あぁ、そうそう、オレをそこらの野郎共と一緒にすんなよ? オレは心だけを『悪』に染めたようなニセモンじゃねぇからな」
ローブがめくれ、ほんの少し顔が見える。
灰色の肌。異常に鋭い犬歯。見えたのはそれだけだったが、一つの結論に至る。
「オレは正真正銘の『悪魔』だぜ」
これは簡単にはいかなそうだ。