【第七話】崩壊編:行動開始
「『悪魔』ねぇ……」
僕はチョークを持って職員室を出た。
中で、あの男が気絶しているが、気にしない。後で、目を覚ますかもしれないけど、気にしない。
それよりもまず、この学校で起きていることを整理しよう。
まず、先生達がいない。これはまあ、『悪魔』達の殲滅に行ったんだろう。ここの学校生徒を守るのが先生の義務なわけだし。
ただ、それをくぐり抜けて、この学校まで来たやつもいたわけだ。あの男のような。
だから、ごく少数ではあるが、この学校にはまだ『悪魔』がいるかもしれない。
教室に着いた。やけに、中が静かだ。
戸を開けると、そこにはトモダチ一人だけがいた。教壇の上に横たわっている、真っ黒なローブを着けたやつを除けば。
「待ってたぜ、秀」
僕はチョークを黒板の上に置いた。
「職員室でごたごたがあってな」
「ま、こっちもだ。馬鹿なやつだぜ? 15人相手に単身で来やがった」
教壇の上を見る。
「みんなは?」
「それぞれ、別行動してるぜ。先生達がいない今、この学校も安全じゃねぇんだけどな………」
先生達がいないことはわかってたのか。ま、そりゃ授業時間になっても来なけりゃわかるか。
「それくらいでやられるほど、僕らも弱くないさ」
「まぁな」
僕は改めてトモダチに向き直る。
「ところで、トモダチ。これからどうする気だ?」
「そうだな………本来こういう場合は、全員一つの場所に集まって、事が収まるまで待機、ってのが決まりだけどな………」
「みんな、バラバラだしな?」
「んじゃ、やることは一つだぜ」
トモダチは少し間を置いて、
「俺達で解決を図る」
そう言った。
うん、さすがトモダチ。話がわかる。
「こういうのには大抵『黒幕』ってのがいるんだよな」
「『悪魔』を統べる……確か『魔王』って言ったっけな、そういうの」
「じゃ、決まりだな、トモダチ」
「ああ、『魔王』を見つけ出して、黙らせる」
さて、行動開始だ。