【第五十話】風邪と知らせ
ピピッ。
「……38度6分か……」
体が、やたらに寒い。
それに、頭も痛い。
いや、やっぱね。人って、後先の事考えて行動しなきゃ駄目だね。
あんな寒い夜に出歩くものじゃないよ。
「……今日も休むか」
どうやら、かなりたちの悪い風邪を引いたようで、昨日一日ずっと安静にしていたのに、まるで良くならない。
「……はよ、秀。ふわぁ~あ……具合はどうだ?」
「ああ、トモダチ。おはよう。今日も無理そう。先生に伝えといてくれ」
「わかった、伝えとくぜ……。あ~……体がだるい……」
「昨日、雪合戦したんだっけか?」
「ああ……まあな」
あの先生のことだ。
どうせ、かなり本格的なルールでやって、魔法とかもアリにしたのだろう。
疲れるはずだ。
「そういえば篭は?」
「まだ起きてきてないぞ」
「……おはよー……」
噂をすれば何とやら。
ゾンビのような声で、篭が起きてきた。
「コホッコホッ、おはよう。どうした、修行の古傷でも痛むのか?」
「ねぇよ、そんなの。……お前、案外、元気そうだな」
「話す余裕くらいならある、って話。実際は……エホッエホッ、具合が悪いことこの上ない」
「ふーん……。あ、そういえば昨日、まーさんも休んでたな」
「……マジ?」
「ああ、ヒナさんの話によると風邪らしい。最近、流行ってんのかね?」
「あ、あはは……」
何だろう、この罪悪感に似た感じは。
やっぱ、アレが原因だよな。確実に。
「ま、しっかり休んでさっさと治せよ? 何か、もうすぐオレ達のクラスに転校生来るらしいし」
「へ?」
「あ~、そういえばそんなこと昨日のホームルームの時に先生が言ってたぜ。しかも2人」
……これは驚きだ。
この学校に来る、ということは、それなりの人。しかも2人。
一体、どんな人なのか。どんな力を……。
それより、転校の時期が微妙すぎやしないだろうか?
この時は、あまり深く考えてはいなかった。
しかし、この1週間後2人が来た時、その個性的過ぎる姿に、僕はひどく困惑することとなる。