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僕の世界  作者: Sal
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【第二十七話】執行編:開戦

「あ、魚正くん」


「宇佐見さんか」


 宇佐見 菊代(うさみ きくよ)


 つい先程まで、一緒に鬼ごっこをやっていた魚正のクラスメイトである。


 とりあえず、仲間の一人と合流できたことに魚正はほっとする。


 が、その安堵感は次の一言で消え失せる。


「……実はわたし今、誰かに追われてるみたいなの」


「『みたい』?」


「わたし個人の能力が聴覚向上なんだけどね。こっちに近付いてくる足音がずっと聞こえるの」


「クラスのやつじゃないのか?」


「明らかに、感じる魔力が禍々しいから違うと思うけど」


 魚正は魔力探知を試みる。


 確かに、近付いてくる魔力がある。しかもこれは……


「『悪魔』、だな。しかも、かなり強力な」


 ますます厄介なことになってきた。


 魚正は考え込む。


 近くに、クラスメイトらしき魔力も感じられない。これは、一人で解決するしかないようだ。


(決断する『勇気』……)


 ちらと正面を見る。


 いや、今は二人だ。


 そして、魚正は決断する。


「ま、撤退する『勇気』ってのもあるが、今は立ち向かう『勇気』の方が必要か」






「あんた、マルコシアスって言ったっけ?」


「左様で御座います」


「ソレ、なんだ?」


「これはワタクシの武器でしてね。名を『炎の氷柱』と言います」


「いや、普通に現代兵器のミサイルにしか見えないんだけど」


 あろうことか、マルコシアスという『悪魔』は、この狭い部屋の中で躊躇なくミサイルをぶっ放している。


「ったく、部屋崩れるぞ」


「御心配なさらずとも、『悪魔の城』はそこまで脆くありませんよ」


 マルコシアスが微笑む。


 確かに、ミサイルを受けている壁や床が崩れる気配がない。傷は多少付いているが。


(じり貧だな、これ……)


 ミサイルはマルコシアスの翼から絶え間なく撃たれ続ける。


 秀は避けているが、攻撃が止む気配がない。


 このままだと、体力切れを待つだけだ。


「これならば、早めに終わりそうですね。他の場所も戦闘を始めているようですし、加勢にでも行きましょうか」


 マルコシアスは余裕そうに言う。


「あ~……めんどくさ」


 秀は詠唱を始める。


 それは、何を言っているか聞き取れないほど一瞬で完了する。


 マルコシアスは一瞬、目を丸くする。


「凄まじい詠唱スピードですね」


「そりゃ、どうも」


 風魔法第一番の二『メガ・ブレス』。


 口から吐く息で突風を起こすという魔法。


 まずは、飛んでくるミサイルを風で受け止める。


 更に詠唱。これも一瞬。


 風魔法第二番の二『メガ・サイクロン』。


 風の渦を起こし、ミサイルを方向転換させる。


 更に詠唱。


 風魔法第四番の二『メガ・ブラスト』。


 魔力消費が激しいが、より強力な突風を起こす魔法。


 マルコシアスは顔を顰める。


 そして、ミサイルがマルコシアスに向かって飛ぶ。


 爆発音が響き、砂煙が辺りを包む。


 マルコシアスは、間一髪避けていた。だが、次の瞬間。


 ズバッ! と、マルコシアスの両翼が切り裂かれた。


「これでミサイルは撃てないよな」


 風魔法第六番の二『メガ・ブレイド』のニ連射だ。


 マルコシアスは、驚嘆していた。


 魔法を連続で、しかもここまでコントロールするなど、もはや常軌を逸している。


 そして、秀はマルコシアスに手をかざして言い放つ。



「反撃開始、と」

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