表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の世界  作者: Sal
26/172

【第二十六話】執行編:投げ入れられた戦場

 目を開けると、そこは小部屋。所々、蜘蛛の巣が張っていて、長い間掃除していない印象を受ける。……って、


「どこだ、ここ」


 どうやら、僕は学校からどこかに飛ばされたらしい。校庭が光に包まれた時、面倒なことになりそうだと思ったんだよ、ほんと。


 魔力の質からして、あれは青魔術の類だろう。というか、空間転移自体が青魔術でしか出来ない。


 僕一人だけこの部屋に転移されているところから察するに、個人レベルで掛けられる術のようだ。


 他の人達もどこかにいるだろう。


「……まずは、この建物を探索するか」


「なら、ワタクシが御案内致しましょうか?」


 声のした方―――真上を見る。いつからいたのか、部屋の天井に黒衣を纏った男が張り付いていた。


 そして、背中から漆黒の翼を広げ、床に降りてきた。


「おや、ワタクシが何者か、という顔をしていらっしゃいますね。失礼。ワタクシは、マルコシアスと申します」


「あんたが僕達をここへ転移させたのか?」


「いいえ。ワタクシではありません。ワタクシは、そのようなセンスは持ち合わせてございません」


「あんた、『人間』じゃないだろ」


「はい。Lv4の『悪魔』でございます」


 簡単に答えすぎだ。


「先ほど、ここはどこかと仰っていましたね。ワタクシがお答えしましょう。ここは『魔界』にある『悪魔の城』の2階の第4小部屋でございます」


「……さっきから、少し喋り過ぎじゃないか?」


「いえいえ。問われたら答える性でして」


 まぁ、そのおかげで大体事態は把握した。


「麻央さんだな? あんた等の狙いは」


「よくお解りで。更に申し上げますと、その他の生徒の邪魔を阻むのがワタクシ達の目的でして」


「……あんたさっき、案内してくれるって言ったよな?」


「はい」


「あんたらの親玉のところまで案内してもらおうか」


「構いませんよ、ただし――」


 重圧プレッシャー。強大な魔力が『悪魔』から溢れ出す。



「ワタクシを倒すことが出来たなら、の話ですがね」



 上等だよ、この野郎。






「あ~、これはどうするべきだ?」


 海藤 魚正は、悩んでいた。


 さっきまで鬼ごっこをしていたはずだが、急に空間転移された。


 独特の『悪魔』の魔力が感じ取れるため、『魔界』であることはすぐに判る。これでも、彼は『勇者』なのだから。


 問題なのは、指揮者がいないこと。


 いつもは、無口な『彼』が指揮をするのだが、今は誰もいない。


 彼は、独断行動をしていいか迷っていた。


(決断する『勇気』が足りねぇみたいだな、俺は)


 とりあえず、じっとしているのは止め、建物を探索し始めた。


 すると、誰かが近づいてくる気配がした。魔力の質から察するに『悪魔』ではない。ということは……


 魚正は、気配のする方へ進む。


 そして、長い廊下の角を曲がった時、見慣れた顔が目に映った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ