【第二十四話】あるテストでの勝負事
「案の定、ほとんど何も解けなかった………」
「心配するな、俺もだ」
「いや、お前は勉強しろよ」
篭はともかく、トモダチはちゃんと学校で授業を受けてただろ。
「いやいや、あんなもん勉強したところで解けるもんじゃねぇ」
「僕は大体、解答欄埋まったけどな」
何の話をしているか、もうわかっていると思うが、今日はテストの実施日だった。
僕は、基本的にテストは嫌いだ。テスト勉強をするのが面倒だし。
ん? 勉強しないでトランプやってたって?
あれは、昼休みにちょこっとやってるだけだ。ただの小休憩。テイクアブレイクだ。
まぁ、それはともかく、篭は落胆している。そりゃ、半年もいなけりゃ勉強内容がわからなくなるはずだ。
「やべぇよ。これ絶対、勉強ついていけねぇよ、今後」
「大丈夫だって。単元はどんどん変わるし、応用物が来ればまとめて覚えればいいさ」
まあ、それでも半年のブランクは結構でかいと思うが。
けど、篭はトモダチみたいに馬鹿ではないし、言われればやるタイプだからなんとかなると思う。多分。
「あ、秀くん、テストどうだった?」
「あ、麻央さん。そうだな、いつも通りって感じだったけど」
「クラス1位になれそう?」
「……残念だけど、僕にはハク君と筧君を上回る学力は持ち合わせてないよ」
あの2人は、頭が良すぎて困る。
僕の学力はせいぜい中の上というところだ。
「秀くん、博識だけどね」
「まぁ……そこは、否定しない」
自分でも無駄な知識が多いと思う。円周率50桁とか使う時が無いという事に気付く前に、飽きれば良いものを。
「つーか、まーさんも秀くらい成績良いよな」
「えー、そんなことないよ」
僕が成績良いかはともかく、トモダチの言うとおり麻央さんの成績は僕と結構近い。
……そうだ。
「麻央さん、僕と点数勝負しない?」
「え?」
「お、それ面白そうだな。じゃあ、負けた方は罰ゲームってどうだ?」
「え? え?」
「おいおい、トモダチ。僕は、単なる娯楽として勝負しようって言ってるだけなんだが……」
「だから、娯楽じゃねぇか。勝負するなら、これくらいしなきゃ面白くないだろ?」
「いや、だから……」
「罰ゲームは、勝者が決めて、敗者に言い渡すってことでいいな。よし、結果が楽しみだ」
「え? え? え?」
「いいよな、テスト結果で勝負して楽しむなんてさ……」
「篭……」
なんか麻央さんは終始おろおろしてたけど、結局承諾した。ってなわけで、言い出しっぺである僕は断ることができないので、勝負内容が決定してしまった。要らぬ事を言ったかと若干後悔してる。
それにしても、罰ゲームとは……。余計なこと言ってくれたよ、あの馬鹿。
そうだな……、ジュース奢らせるくらいが無難か。うん、僕が決めることになったらそうしよう。
やはり、普通の日常は良い。楽しい。
これが僕の望むもの。僕の世界だ。
よく考えれば、この翌日だった。
あんな面倒な事が起こったのは。