【第二十話】帰ってきた友人
突然だが、僕のクラスについて説明しようと思う。
僕の所属するクラスは、男子11名、女子6名で計17名。少なめだと思うかもしれないが、何せ全員おかしな存在である。
そもそも、この学校自体がなかなかランクが高く、おかしな人達の中でも『特に』おかしな人達しか通わないわけだ。まぁ、かく言う僕もその一人であるが、それは置いておく。
そんなことよりも、何故いきなりこんな話をしたか。理由を述べよう。
新しいやつが来た。いや、正確には『帰ってきた』。
「てか、お前誰だっけ?」
「それ、ひどくねぇ!? 同じ寮部屋じゃん!」
その時、教室の扉が開いて麻央さんが入ってきた。
「おはよー。あ、篭くんだ。久しぶりだね」
「お、まーさんじゃん。久しぶりだなー」
この男は亀山 篭。
話の通り、僕とトモダチと同じ寮部屋の人であり、ここ半年間ずっとどっか行ってたやつだ。
「お前、どこ行ってたんだ? この半年間」
「もっともな質問だ、トモダチ」
ぶっちゃけ、クラス全員が耳を傾けている。
篭は、ゆっくりと息を吸ってから口を開いた。
「山にこもって修行してた」
その瞬間、一部を除き全員がずっこけた。
「……なんつー古典的な修行だ、それは」
「いや、オレだってそんなことしたくなかったけど、アクがうるさくってな……」
「アク、って確か篭くんの召喚獣だよね」
と麻央さん。
「ああ、『力無き者に手を貸すつもりはない。儂と釣り合わなくば、契約は解除する』とか言ってな……。厄介なやつだ、まったく」
「じゃあ、何で俺達に何も言わないで出てったんだ」
トモダチが半分怒ってるような口調で言うと、
「いや、こんな何ヶ月もかかると思ってなかったからさ、何も言わなかったんだよ。先生には、しばらく休むとだけ言ったんだけど」
トモダチが怪訝そうな顔になる。一応、同意しておこう。うん。
「はーい、ホームルーム始めんぞー。あん? 亀山、帰ってきたのか」
神谷先生が入ってきた。
「あ、先生お久しぶりですー」
「お前、厄介な時に帰ってきたな。もうすぐテストだぞ」
「マジですか!?」
僕はふと、黒板の隅に書かれている文字を見る。そこには、『今日の日直 海藤 魚正』と書かれていた。
日直は名簿番号順にやるので、そろそろ僕の番になるな……。
嫌だね。日直とか面倒臭い。
まてよ、こいつが帰ってきたから、名簿にこいつの名前が割り込んで一日遅くなるな。
僕はそんな他愛もないことを考えていた。