【第十六話】くじ引きBOX
「今日は何するか?」
「そんな時こそ~」
「『くじ引きBOX』~」
説明しよう。
『くじ引きBOX』とは、中に色んなトランプゲームの名前が書いてある紙きれが入っている、段ボールで造られた、手作り感バリバリの箱である。
それにしても、麻央さんとトモダチのテンションが妙に高い。
「…………」
ちなみに、今日は筧君もいたりする。
「ふっふ~ん、今日から新しいゲームが追加されるんだよ~」
「そうなのか」
だから、テンション高いのか。
「聞いて驚け、秀。なんと追加されるゲームは、2つ!」
「2つも追加すんのか?」
「そして、そのゲームの名は…………」
トモダチは、懐から二枚の紙きれを取り出した。
その紙きれに、書かれていたのは………
「『ブラックジャック』と『ポーカー』だー!」
「待てい」
「なんだ、秀?」
「その2つは、賭け金が無いとつまらんからやめろ、って前に言っただろうが」
前と言っても、随分昔のことだが。
「あはは、だから買ってきたんだよ」
「何を?」
「じゃーん! おもちゃのチップだよ」
麻央さんが出した物は、大体横15センチ、縦25センチのプラスチックケース。中には、100円玉くらいの大きさのチップが大量に並んでいる。
「……買ったの、これ?」
「うん」
「いつ?」
「昨日」
「一人で?」
「ううん、トモダチくんも一緒に」
「……おい秀、何だその目は」
「……別に」
「お? お前、ひょっとしてうらやまし――」
「黙れ」
この野郎、休日に珍しく出かけてると思ったら………。
「いくらしたの、コレ?」
「1980円」
たけぇ。
「2つ買ったんだよ」
麻央さんは、もう一つケースを出した。
うそん。
「3960円……」
何て無駄な出費だろう。
というか、チップとか無くても、得点くらい紙にでもメモしておけばいい話だ。いや、そもそも、こういうのは本物の金を賭けるスリルというかなんというか、そういうものがいいんじゃ……。
「えへへー」
……ま、いっか。別に。
「おい、秀。何か変な顔してるぞ」
「うっさい」
そんなわけで、その日は試しに四人で『ポーカー』をやってみることになった。『くじ引きBOX』出した意味ねぇ。
……え、続くのコレ?