〜急展開〜
「いや〜来ちゃったかぁ〜ここに。残念だったね〜
まぁゆっくりしていきなよ。説明するからさ。」
真っ暗な空間に間延びした声が響く。
白い空間が突如、崩れ現れたこの景色に混乱してる最中、この暗闇に微かに見える〝何か″を捉えた。
「なんだここは…俺は儀式の途中だった筈だ…
それともこれも儀式の一つなのか?あなたが選定の女神?」
狼狽えつつも冷静に言った。
「儀式の途中だったは合ってるけど儀式の一つではないね〜というか儀式はもう終わってるからさっ!それと女神ではないよ〜管理者とでも呼んでくれ」
中性的な声で管理者は答えた。
そもそも女神様じゃないのに何故、
選定の儀に居るんだ?
「終わってる?管理者?どういう事だ。取り敢えずここから出してくれ!」
「〝何も知らないまま″出るの?」
先程の様子とは打って変わって冷たい声が暗
闇に響く。
「なんなんだよ…」
「まぁ状況を理解しろと言うのも無理な話だよね。めんどくさいからこちらから一気に話すよ」
ーー取り敢えず状況を確認しないとだな…
全く見当も付かないし。
「分かった。」
「物分かりが良くて助かるよ!他の子達も見習って欲しいね…っと本題に入るけどまず選定の儀は僕や女神が行ってる訳じゃないんだ。別の世界で行われるとしか今は言えない。普通なら職業を決めてアビリティーを授けたら返すんだけど稀に君のような事が起きる」
凛とした声が暗闇を支配する。
「僕達はこれを〝Reset″(リセット)って呼んでいる。行なった者が選定する価値がないと判断し、選定の儀を中断した事で起こる現象だと言われてる。
要は価値のない君の儀式は捨てられたって事になるね〜」
最後に間延びした管理者の声が
衝撃の事実を伝えた。
別の世界…リセット…価値がない…
正直、未知の話し過ぎて脳が追い付いていない。
しかし冗談で言ってる様子はなかった…
だとしたら俺はどうなるんだ。
そもそもじゃあ誰が選定の儀を中断したんだ…
不安が気付くと口から外に漏れていた。
「リセットとか別の世界だとか全然よく分からないんだが…俺は剣士にもなれずここに居るしかないって事なのか?それとも要らないと判断されたのなら死ぬ…のか?」
正気のない声が闇に消える。
自分の存在も闇に溶けて消えてしまいそうだ…儀式を終えたらみんなとギルドに行って…高等部に…依頼に…父さんを越えてこの時代一番の剣士になりたかった…
身体の力が抜け崩れ落ちる手前で
管理者が言った。
「はっ?いや死なないし外に出すし剣士になれるよ〜!何、早◯なの?嫌われるよ!主に女性と一部の男性に」
別の意味で崩れ落ちそうになったが管理者の言葉に身体に心に生気が戻った。
「一部の男性についてはちょっと分かりたくないけど戻れるんだな!?なら戻して欲しい今す−−
続きの言葉を言う前に管理者の声が遮った。
「ただし!ここを出たらやらないといけない事がある。君の選定の儀を行なった者が、改めて儀式を受けさせた人間をーー殺す事だ。」