〜始まりの始まり〜
目を開けると、真っ白な何もない空間に居た。
服装は選定の間のままみたいだ。
人間って一色だけの空間にいると方向感覚も距離感覚も全て狂うらしいけどなるほど、確かにそうかも知れない。
真っ白な空間をしみじみ眺めていると上から、というか空間全体から声が聞こえる。
「職業選択に移ります。頭の中でなりたい職業をイメージして下さい。適正と判断されると選択完了になります。」
機械音のような声が響き渡る。
性別は判断出来ないな。この声の人が女神様なのか?
疑問はあるがもう始まってるみたいなので
言われた通りイメージする。
昔からの目標だったこの言葉を。
ーー剣士になりたい、、、!
「適正と判断されました。選択完了になります。」
その声と同時に、身体が光り出した。
「、、、なんだ!?」
驚いて声が出てしまったがこれは
無理もないだろう!
しかしすぐに光りは消え、後に残るのは
驚きのリアクションをしたという自分のみ。
「これなんか変わったのかな?」
見た目に関しては何も変わっておらず
魔力の変化も見られない。
「完了致しました。それではアビリティーに移ります。」
変化を感じられない様子の佐乃を置き去りにし、
次の段階に移ったのか白い空間が発光し始め、
その光りが佐乃の前に集束し、球体となった。
力強い光りを放ち、浮遊している球体を前に
「それでは授けます。」
抑揚のない短い言葉と共に球体が腹部に
進入して来た。ぬるま湯に浸かってるかの様な
心地良さを感じていたその時に!
突如、白い空間に亀裂が生まれ崩れ始めた!
ーーヤバい!落ちる!!
目を閉じて来るであろう落下の浮遊感に備えたがいつになってもあの感覚がこない。
恐る恐る、目を開けると真っ暗な空間に居た。