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Reset−出来損ない達の冒険−  作者: 狼少年
第一章・始動
4/24

〜教会〜

教会に近付くにつれ、

他の中等部の連中も見えてきた。


春休みに入り、会ってない連中も中には

居たがさして変わりはないようだ。

こちらに気付いた人達に再会の挨拶を交わした。

葉月達を見ると友人と話してるのが見えた。


ーー久しぶりの再会で話したい事も

あるだろうから邪魔はしない方がいいな。


視線を戻し、再び教会へと進もうとすると

突然、肩を掴まれ反射的に肩が踊った。

後ろを振り返ると俯きながらも右手で俺の肩を

力強く握っている赤髪の頭部が見えた。


先程、ルルの右ボディーブローによって

沈められたカイだった。来るの早くね…?

一体どんな身体してんだよと疑いたくなる。

しかし無事、生還した友に

一言かけてやらなければならない。


「よくぞ戻ってくれた友よ。」


「お前の手の平、フライパンかよ!」


「えっちょっと何言ってるか分からないごめん。」


カイなりのボケなのかしかし、

比喩表現が雑すぎて拾う気にもならない。


「一段と今日は酷くないか…冷たくないか…」


「悪かったよ選定の儀という事も

あって荒ぶってたみたいだ」


「選定の儀、使えばいいと思ってませんか?」


「あーうんうんそうかもー」


「もういい…もういいもんっ」


上目遣いで拗ねたカイが言った。

可愛いくないし、そもそもこいつがやると

チン◯ラが睨みつけてる様にしか見えない。

もう少しいじめようかと

思い喋り出そうとしたその時、


『・・・選定の儀、午前の部の受付を開始します。証明書と学生証を入り口にて提示してお入り下さい。』


若い女性のアナウンスが聞こえた。

どうやらごちゃごちゃ漫才をやっている間に

受付が始まったようだ。


ーーくそっ無駄な時間を過ごした!


アナウンスを聞き、周りの人もそそくさと

教会に向かい始めた。


「カイ、漫才は後だ!俺達も急ぐぞ!」


「切り替えの早さもフライパンや…

お、おう!行くか!」


拗ねたチン◯ラも持ち直し、教会へと歩き出した。

近付くにつれ、石造りの道から

綺麗に刈り込まれた芝生の道へ変わって行く。

ここだけ時代が違って見える。芝生から

視線を上げ、教会を捉えた。

白を基調とし、派手過ぎず地味過ぎない

彫り物の装飾具が所々、均等に外観を飾る。

教会というよりこの規模だともはや神殿だ。


入り口の前にシスター達が受付をしているのが

見えた。受付も始まってるのも

あって人が密集している。

受付待ちの列に葉月達の姿も見えたので

そちらに向かった。


「佐乃くん!ごめんねー話し込んじゃってさ

カイくんも無事みたいで良かったよ」


葉月が俺とカイを見て、

申し訳なさそうにそう言った。


「いや構わないよ。久しぶりの再会だったし

話す事もあるでしょー」


「ユイちゃんご褒美にパンーー」


「次は私のサマーソルトキックを受けたいのかしら?」


「カイちゃん死んだわぁ…」


どうしてそんな事を言えるのか疑問でならない…

悲惨な事になるのが目に見えているのに。

真顔で言うカイに冷たい葉月の視線が突き刺さる。

それを見たルルのげんなりした顔が見える。

真顔に冷酷な視線にげんなりした少女。

絵だけ見るとシュールで笑える。


「そう言えば、葉月達は職業どうするんだ?」


気を利かせた俺の話題振りがこの場の緊張を解いた。出来る男は日常のふとした場面でもその能力が活かされるのである。


「私はお母さんと同じく魔導師かな!

魔法系が得意だから」


「私はねぇー拳闘士かなー

格闘技得意だしぴったりよっ!」


「助かったけどその若干のドヤ顔、ウザいぞ」


一名を除き、会話のキャッチボールは

成功したみたいだ。

葉月は初等部の時から魔法実技、

魔法原理学の成績が学年トップだ。

ルルは戦闘実技、身体強化の能力が高い。


「佐乃くんは剣士?」


「その予定だよ!剣が一番合うしさ」


「カイちゃんはやっぱお父さんと同じく槍士?」


カイの父さんは槍の使い手として

国で活躍している騎士だ。

剣の八雲家、槍のロイン家、魔の葉月家、

武のルル家と評されている。

カイを見ると先程とは打って変わって

真剣な表情になっていた。


「俺は斧闘士になるよ。」


カイは短くそう言うと、受付の方を見る。

横顔でしか読み取る事は出来ないが

どこか表情は暗い。

葉月とルルは不思議そうな顔を浮かべたが

その表情を見て、何も言わなかった。


カイの視線の先を見ると、

もう受付の番はすぐそこに迫っていた。

出しておこうと思い、

ポケットの証明書と学生証に触れた。

レザーの滑らかな質感と証明書の硬い紙が手に伝わる。


「ーーーー次の方、どうぞ。」


シスターの声が前から聞こえた。

カイがポケットから証明書と学生証を渡すのが見える。

腕にリストバンドの様な機械をした

シスターが提示したその二つにかざしている。

どうやらあれで読み取り、確認しているようだ。


「次の方、どうぞ。」


左側のシスターから声がかかる。

証明書と学生証を渡した。


「確認出来ました。では中へどうぞ。

選定の幸あらんことを。」


確認を終えたシスターがそう言うと扉を開けた。


ーーいよいよ、選定の儀だ。

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