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Reset−出来損ない達の冒険−  作者: 狼少年
第二章・学園編
23/24

〜クラス発表〜

壇上の前には人集りが出来て、

体育館の真ん中辺りまで人が密集している。


「佐乃くん!カイくん!」


呼び声がする方へ向くと葉月が居た。

葉月もこの人集りに前に行けないでいるみたいだ。


「ルルの怪我、大丈夫なのか?」


「背中の打撲だけらしいけど、

転移直後は痛みが残ってたし

一応、様子見で治療室で安静にしてるよ」


「そうか!ルルちゃん良かった〜」


「良かった!ルルのクラスも確認したら

後で、治療室行こうか」


葉月の言葉に俺とカイは安心した。

ーーしかし…誰がルルを倒したんだろう。


「そうね!でもこの…ね」


横の人集りを見るとすぐに

こちらに視線を戻して言った。


「道を作る。俺の背中だけを見てついて来い」


サムズアップしながら渋い顔でカイが言う。

場面が違っていたら男でも惚れるであろう。

しかし、人集りを進むだけである。

非常に残念かつ勿体無いセリフの使い方だ…


「ここで言う場面ではないよ…」


「ちょっとぉぉお!すみませんねぇぇえ!

ぐはっっ!!

俺は…仲間を生かす事すらも出来ないのか…!

いや俺がやらねば皆に明日はない!!うぉーー!」


葉月が残念そうな顔で呟いた直後、

カイがもう死地から仲間を逃す為に

自分が犠牲になる設定に入り、

やかましい声で群集に突入する。


最初は弾かれていたが、

カイの声にこいつ、やべぇ…みたいな

表情を浮かべ、人が引いていった。


「今だ!かもーん!!」


「ま、まぁせっかくだし行きますか…」


「そ、そうだね…」


若干、引きながらも俺と葉月は

カイの背中について行く。

ゆっくりだが、

徐々に近付き遂に掲示板の前へと着いた。


「我、戦神なり。」


燃え尽きたカイはその場で膝をついた。


ーーありがとう。でも君は何か

大事な物を失ったね…


無言でカイの背中に

声をかけると、掲示板を見る。

カイ達と一緒かどうか…

不安が込み上げてくる。


クラス毎に名前が書いてあり、

S組のクラスメンバーを見ると

殆ど知らない名前の中に知った名前を見つける。


ーーカイ・ロイン、葉月ユイ、

ルル・愛華、そして皇=ルイン


俺の名前はーーーない。


ドクンっと心臓が大きく一回鳴った。

それと共に失望感が襲って来る。

何処かにやっぱりな…って気持ちもあり、

グチャグチャな気分だ。


「あった!カイくんもルルも!佐乃くんが…」


最初は見つけた事に歓喜していた葉月が

俺の名前がない事に気付き、声が小さくなり消える。

膝をついていたカイが葉月の声に反応し、


「おいおい…見間違えじゃねーのか?」


と言うとカイ自らも名前を探し始めた。が

いくら探してもない。


「カイ…ないものはないよ。

俺も負けてさ…」


「まじかよ…でも勝ち負けとかじゃなく

戦闘評価だろ!それならーー


「いやこいつは全くダメダメだったぞ」


横からカイの声を遮り、霜月先生が出てくる。

その声にカイの顔が険しくなる。


「最初の生徒を倒したのもありゃ偶然に近いなー

相性が良かったな。次の皇戦だが…

お前も分かっただろ?」


霜月先生の問いかけに俺は何も返せなかった。

自分の口から言うのが怖くて…かっこ悪くて…。


「皇は魔武器もスキルも使いこなし、剣の腕も

魔法の発動・応用も見事なものだった。

それに比べてお前は…何も出来ず、

こめかみ打ち抜かれてチーンだからな」


霜月先生が頭をかきながら眠そうな顔で言った。

でもこの言葉はまるで実際に矢にでも

変わったかの様に次々と胸に刺さる。

何も言い返す言葉が見つからなかった。


「ちょっと!言いすぎです霜月先生!!」


「てめぇ!教師だが何だか知らねぇけどーーっ!!」


「知らねぇけどーーなんだ?」


カイが霜月先生に詰め寄り、

胸倉を掴もうとした時に、

霜月先生の眠そうな目が鋭く細められ、

身体が重くなる程の気迫が霜月先生から発せられる。


カイが怯んで止まり、葉月も俺も

言葉を発する事すらも出来なかった。


「カイ・ロイン何ていうか友達思いなのは

いいけどな…突っ走り過ぎだぞ〜」


こちらにまた眠そうな顔で言うと、

さっきまでの雰囲気に戻り、身体も軽くなった。


「まぁーそういう訳だからお前らも受け止めて

取り敢えずクラス行ってよ。探すの疲れるし」


そのまま後ろを向き、出口の方へ歩いて行った。

霜月先生の背中を三人共、ただ呆然と見送る。


「悪い!先、行っててくれ

俺は名前探すからさ!クラス行って終わったら

治療室、行くから!」


自分が今、出来るであろう

精一杯の笑顔で二人に言った。


「で、でも!」


「ユイちゃん行こうか!まぁクラス違くても

それだけの事だしよ!佐乃、先行ってるぞ〜!」


葉月はまだ居ようとしたが、

カイがいつもの感じで返事をすると先を促す。

二人が行ったのを確認し、取り敢えずクラスを探す。


ーーA組…ない。B組…C組……ない。


そして一番右端の掲示板の前に移動する。

目で上から順に追う。

8人しか居なく、直ぐに下まで身終えた。


ーーX組……八雲佐乃


X組の一番下に物心ついた時から目にしている

自分の名前がそこにあった。

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