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Reset−出来損ない達の冒険−  作者: 狼少年
第二章・学園編
21/24

〜銀の大剣使いと幼き双剣士

ーーー


「これで3人目っ!〝土装拳破どそうけんは″」


「消えたっ!?ーーゴフぅう!!」


凝縮ぎょうしゅくされた土が何層も重なり

堅牢な土の両拳が出来る。

その場から飛び上がり、男子生徒の

後ろの木まで行くとその木を蹴って

後ろから一気に迫り、

右拳で後頭部を打ち抜いた。


「ふぅー!よゆーよゆー!」


手を叩きながらルルは言う。

花火の合図と共にこの場に移動して来た1人を

速攻で狩り、2人目3人目は真っ向勝負でじ伏せた。

その顔からは疲労も感じさせず、

彼女の日々の鍛錬の凄さと強さが伺える。


ーードカーン!!


「うん?あっちでやってるみたいねー

もっと稼ぎますかっ!」


無属性の身体強化をかけると、

脱兎だっとの如く、音のする方へ駆け出した。


直線距離にして100mもないか、

地形が森林の為、視界がクリアじゃないので

見えなかったが行ってみると

直ぐに音の原因が判明した。


静かにたたずむむ、一人の男子生徒がそこに居た。

銀色の髪に前髪から時折見せる

冷ややかな琥珀色の瞳。

何より特徴的なのがその生徒の身長と

同じくらいあろうか、

漆黒の大剣を右手に持っている。


その周囲には、まだ転移が始まってない

合わせて10人以上は居るであろうか、

男子生徒と女子生徒が倒れていた。


「うっそ…何あの人…」


思わず、声が漏れてしまった。

その声が聞こえたのか銀髪の生徒がルルを見る。


「少しは出来そうだな…」


そう呟くと同時に銀髪の大剣使いは身体中が

銀色に輝くと、大剣を横に構えルルに迫る!!


「はっやっ!!間に合わない!ぐっううう!!」


漆黒の一閃がルルに襲い掛かる。

辛うじて構えた両腕で受けるが、

見た目以上に重い一振りに

身体が木々をへし折りながら

弾丸のように飛ぶ。


「ガハッ!!……くや…し」


数本へし折った後にやっと止まったが

衝撃と痛みでピクリとも身体が動かない。

樹木の根元に仰向けで

倒れたルルが苦しげに呟く。


その言葉を最後に姿が消えた。


ーーー


戦闘した場所から移動をしていると

目の前に小柄な生徒が見えた。

こちらの接近に気付いたその生徒が振り向く。


「やぁーこんにちわ。初めましてだねー」


そう言うとあどけない顔で笑った。

幼さが残る中性的な顔に艶のある栗色の髪。

前髪を結んでいて栗色の瞳もよく見える。


「八雲だ。君は?」


すめらぎ=ルインです

呼び方はお任せするよ」


律儀に返してくる皇。

一応ここは戦場なのだが…

それに似つかわしくない会話と雰囲気が漂う。


ーーまぁ…名前名乗り始めたの俺だけど…


「自己紹介も終わったし、始めようかな。

阿吽あうん″これ僕の愛剣ね!」


雰囲気は一変し、

魔武器の出現が戦闘の開始を告げる。


皇の両手に二対の双剣が姿を現わす。

子どもに見える皇だが発する剣気は

強者のそれだ。


ーーいよいよ、ちゃんとした実戦だ。


「〝夜光″行くーーちっ!」


「まずは小手調べね!ほらっ!ほらっ!」


「うっ!ぐっ!!」


先手を打とうと、構えた時には皇が

こちらに剣を振り下ろしていた。

双剣・阿吽を自在に操り、

四方八方からの斬撃に致命傷を辛うじて

弾いているが、傷はどんどん増えていく一方だ。


ーーくっ!見た目とは違って剣撃が重い…!


「弱すぎ。刀もアビリティーも

使えてないじゃないか。

それじゃあ生き残れないよっ」


「じゃあね!」


皇の右腕に雷が走ったのが見えたが、

次の瞬間、視界がブラックアウトしたーー


目を覚ますと、体育館の天井が見えた。


「はっ!痛っ!」


左のこめかみに鋭い痛みが走る。


ーーあの時に皇にやられたのか…


横目で見ると、体育館である事は変わらず、

いつの間にか椅子は片付けられており、

白いベッドがずらりと並んでいる。

ベッドには転移して来た生徒が

あちこちで治療を受けてるみたいだ。


「お疲れ様でした。今、回復しますねー」


白衣を着た女性がこちらを見て、

怪我の場所に正確に手をかざし

回復魔法を掛ける。

痛みが引いていくのが分かった。


「ありがとうございます。

あの…クラス分けは終了ですか?」


「えぇ。転移した時点で終わりですよ。

後は、休んでクラス分けの終了を

待ってて下さい」


淡々と言うと、他の生徒を治療しに行った。


ーー…くそっ!!


最初の敵を倒して完全に浮き足立っていた。

全然、戦える!と錯覚して安心し切っていた。

いざまともな相手と戦えば差は歴然だった。

皇の動きも力でさえも対応出来なかった。


今、思えばグラウンドで

周りから闘技代表リーダーと

知られて有頂天になっていた。


「クラス分けサバイバル終了だ!

みんなお疲れさんなー

30分後、ここにまた集まってな。

それまで自由にしててくれ」


程なくして、霜月先生の声によって

終了の知らせが入る。

俺はそれを聞くと足早に外へ出た。


ーー今は誰とも顔を合わせたくない。


グラウンドの奥まった所に木陰があり、

その下に木で出来た長椅子があった。

そこに腰掛け目を瞑る。

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