〜クラス分けサバイバル〜
「あれ!?どこだよここ!」
「転移されたみたいね…」
「緑がいっぱいだね〜」
目の前にはこれまた広大な森林が広がっていた。
一本一本が見上げる程、高い。
木と木の間も狭かったり広かったりと
天然の迷路の様だ。
この光景に周りの新入生も何がなんだか
分からず立ち尽くしていると、
『突然悪かったねー』
空から霜月先生の声が響く。
「どういう事だよ!これは!」
カイが堪らず、声を荒げる。
『クラス分けをするって言ったろ?
ウチはS〜Cまで順にクラスがあって
これを模擬戦で決めるんだよ。
因みに一定の評価に満たさない奴はーーX組だ。』
『評価するポイントは
身体能力・判断力・魔力、魔法操作力・
アビリティーの強さ・魔武器とか
まぁー色々あるんだけどそれをこちらで
チェックしてクラス分けをするのよー』
『肩にある腕章はお前らを守る
魔具だ。死なれちゃ困るからなー!
その空間内なら即死する事はない。
設定されたダメージ量を越えると
体育館に転送されるから安心してな〜』
最初はざわざわと動揺している様子だったが、
クラス分けという事と評価に関係するとあって
次第に士気が上がっていく。
『3分後に開始するから各自散らばるなり
なんなり好きにしてくれ。
腕章に手をかざせば戦闘服に自動で
切り替わるから着替えて開始を待ってろ〜
思う存分、どんな手使っても生き残れ』
あー疲れた。という言葉を
最後に声がしなくなった。
「よく分かんねーけど取り敢えず
片っ端から倒していけばいいって事だな!
みんな簡単にやられんなよー!〝二極″!」
カイが魔武器・二極を
出して腕章に手をやると、
制服から一瞬で各部位にプロテクターの
着いた黒い戦闘服に切り替わる。
そのまま奥へと走って行った。
「私も行くねー!お手柔らかにお願いね!
〝理″!」
「よっしゃ〜いっちょやったる〜!
やるよ!〝鉄拳″!!」
二人はそう言うと魔武器を手に取り、
戦闘服に切り替えて
それぞれ別々の方へ散らばった。
「入学早々、実力試しか…
どこまでやれるか楽しみだ!〝夜光″」
左の腰に夜光を差し、
腕章に触れると一瞬で戦闘服へと変わった。
ーー取り敢えず、どんな奴が居るか
分からないし空間が開けたここはまずいな…
三人が行ってない左の方へ走り抜ける。
木々の隙間から小さい池が見えた。
池の周りには大きめな岩が転がっている。
ーー身を隠す場所に最適だな。
ここで開始を待とう。
身を潜めて僅か数秒経った時、
空に花火が上がった。
〝クラス分けサバイバル開始の合図だ″
ーーー
開始の合図があったと同時に
爆音と木の倒れる音が聞こえた。
「早速始まったか…さーてどうするかな」
女神の加護がないらしいが、どれくらいの差が
ある・なしで違うのか分からない。
そして一番不安なのが
アビリティーを使えない事だ。
魔法や剣技とかとは別にして、
戦闘においてアビリティーは
重要な勝因要素の一つになる筈だ。
ザッ…
ーーやってみなきゃ分からないか…っ!?
こちらの方に近付く足音が聞こえた。
幸い、方向からして身を隠している
岩の真正面からだ。
あちらからは見えない筈だ。
身を潜めて相手の行動を探っていると、
突然、岩が飛び散った!!
「っ!!」
間一髪で真横に飛び、難を逃れた。
飛びながら相手を確認すると
弓を構えている男子生徒が見えた。
「ちっ!ギリギリで避けたか!
折角、〝生体感知″で見つけたのによ!
ならこれでどうだ!〝矢の雨″!!」
男子生徒が弓を引くと魔力の矢が形成され、
その矢を空に向けて放つ。
こちらに向けて撃たなかった理由は
分からないが弓を掲げたままの姿勢で動かない。
ーー隙だらけだ!
無属性の強化魔法をかけて、
姿勢を低くして地を這うように
男子生徒へと迫る。
約10メートルと言った所か、そこで
夜光を右手で抜刀し、
左手で目眩しに魔力を放とうとした時、
「ぐっ!!さっきのか!」
進行方向に上から矢が落ちてきて
一瞬、立ち止まってしまい
そこに雨の様に矢が落ち、
砂煙が一面に立つ。
男子生徒が勝利を確信した顔になる。
当たったかに見えた一発目が足元に
着弾した時に後方にすかさず
跳び退り砂煙に乗じて、
男子生徒に一気に近付く。
「悪いな!死ね!〝狙撃…
何!?ぶはっ!!」
「おいおい。一応、模擬戦なんだから
死ねはまずいだろ…」
トドメを刺そうと次の攻撃に移ろうとした時、
砂煙から佐乃が飛び出て、胴体に峰打ちを当てた。
倒れた男子生徒の腕章が
光った瞬間、姿が消えた。
霜月先生の言った通り、
転移したんだろう。
「まだ相手が弱くて良かったけど
アビリティーと魔武器か…
ここからもっと気を引き締めないとだね」
今の戦闘音で人が集まると厄介なので
すぐさま移動を開始する。




