〜始まり〜
第一章の始まりですっ!
新たなスタートをする朝は、希望が溢れる様なーー
雲一つもない快晴の空模様がいい。
ここ西洋の家々が並ぶ
魔法の国ーーカストル国はまさにこの日は、
今日から見習い剣士の(なる予定)
門出を祝うかの様な空模様ーー
西洋の家々が並ぶ中に一際目立つ、
東地区に位置する木造式の二階の窓から
街並みを見下ろす黒髪の男の子が居た。
「今日から始まる俺の冒険物語〜」
鼻歌でも歌い出しそうな勢いの
少年の名前はーー八雲佐乃。
全体的に長めで目の上まである前髪、
両サイドを少し短めに揃えてる黒髪の少年。
同年代に比べて身長は少し高めだが言う程、
高くもない。筋肉質の細めの体格で上下、
動きやすそうな黒色の服を着ている。
スーっと鼻筋の通った顔に薄めの唇、整った顔に
分類されるが茶色がかった涼しげな目は
何処と無くクールキャラ気取ってんのか?
と言いたくなる。
「何か身体的特徴の事で悪口を言われた気がする…まぁそれより選定の儀の支度をしないと」
身支度を終え、一階に降りるとテーブルに
肩まで伸ばした艶のある黒髪の女の子が座っていた。
降りてきた佐乃に気付き、鈴の音のような声で
「おはよう〜今日だね選定の儀。お父さんから
電子通話がさっきあったよ!難しくないから落ち着いて受けてきなさいってさ」
珍しく父さんからの連絡だ。国のお抱え剣士の一人である妹の八雲水樹と俺の父の八雲佐仁である。お抱えだけあって剣の腕は確かなものがあり指南役も務める程の腕前だ。
母さんの名前は八雲水音。母さんは妹を出産してから亡くなってしまったらしい。らしいというのは俺は1歳だったので
酷い話になるが覚えてない。
写真で見た事あるが、水樹と瓜二つ。綺麗な顔立ちに大きめな目に左眼元にあるホクロも一緒だ。
「どしたの?緊張し過ぎてここあらだよー」
昔の事に思いを馳せてしまい過ぎてたようだ。
頭を振り、一段落つけて佐乃はため息まじりに
「いや大丈夫だよ。それよりなんだここあらって変に略すな心ここに在らずって普通に言えよ」
「流石、兄さん!よく分かったね〜
ご褒美に私のパンツあげるっ!」
水樹は恥ずかしげもなく言い放った。
朝からこいつは。
「要らん!!そんなはしたない事、言うんじゃねー!!」
これくらい声が出るなら調子はいいであろう。
思わぬパンツチャンスを物にしなかった事は悔やまれるが可愛い妹に変態のレッテルを貼られたくはない…
「冗談だってばーまぁいつも通りで安心だね!
朝食、用意出来てるから一緒に食べよう!」
ニコっと笑いながら水樹は言った。
良妻ぶりを惜しげもなく披露する妹。
これがまた美味いのである。天は二物を与えずという言葉は嘘と言いたくなる存在が目の前に居る。
「悪いな今日、俺が当番だったのに!頂くよ」
「選定の儀だし仕方ないよ!さっ食べて食べて!兄さんの好きな卵、ふんだんに使ったからさ」
その言葉を聞いた途端に、お腹の虫も騒ぎ始めた。
半透明な黄色いスクランブルエッグの隣りにはカリッカリッのベーコンが添えられてある。スクランブルエッグには塩と胡椒が至高である。
異論は認めるがこのスタイルは崩さない!
「「頂きます!」」
朝食の前に二人の声が重なった朝のひと時。
※西洋文化が主な舞台ですが東洋文化も少なからず登場します〜