六十七本目
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思いだした、と言うには程遠いのかもしれない。
「まぁ、春樹が外に出られたっぽかったのにね。
それに咲希ちゃんだって死んじゃってたかもしれない。
・・・それなのに、その時で終わらなかったんだよ」
一息入れるために彼女は大きく伸びをした。
彼女の言うような世界を見たことがある。
確か村の外へ出て、近くを通った人が助けてくれた。
その後病院に入院して病気であることを告げられて。
そして、彼女からもらった本が手放せなくて。
夜寝てもあの時の出来事が夢の中で繰り返し起こった。
何もかも忘れることができずに、僕は只管泣き続けていたのだ。
最後に眠りにつくように、願ったんだ。
「彼女達を助けたい」と。
「うーん、なんでだろ?遙香が巻き戻したのかな?」
「・・・・・・」
言おうか言うまいか悩んだ。
彼女に嫌われてしまったらどうしよう。
そもそもこの記憶が正しいのかすら判断できない。
というか、これは記憶なのだろうか。
「でも、その後からみんなの死ぬ回数が増えたんだよね」
しょんぼりしたような顔で、彼女はぼやいた。
心が痛んだ音がして、居てもたってもいられなかった。
だから僕はぎゅぅっと彼女を抱きしめた。
「もう、終わったことだ」
そう言うと、彼女はもっと悲しそうな顔をした。
「私にとっては、ずっと、これからも、続いていく悪夢なんだよ」




