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五十八本目
次の日(つまり今日)の儀式は冬華が行った。
鈴をお腹のあたりにつけた巫女服を着た冬華は綺麗だった。
お社の中で息を殺して見ながら思った。
この儀式に関しては私がやることもあった。
大体理由は「面倒だから」。
あんなにも真面目にふるまっている癖に、それが一番嫌いなんだ。
今日の冬華の様子を見る限り、やはり嫌そうな顔をしている。
でも手を止めるようなことはない。
口上も丁寧だ。
流石に小さい頃から教育されているだけあって、私とは違う。
そして、最後の言葉を言い終わったその時。
もう一言分口が動いた。
「・・・・・・・・・・」
声は聞こえなかった。
でも、分かった。
それは、私や遙香がよく使う言葉。




