表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きになるはなし  作者: 雲雀 蓮
時間では癒えぬ傷
55/70

五十三本目



**



本当はあきらめたくなんてなかった。

自分の死なんて認めたくなかった。



でも彼女の涙を見て、何か別の自分が見えた気がしたんだ。






みんなが死んでしまったのに、一人生きている自分が。






気の所為だって思いたかった。

あの自分は存在していないのは、今の自分が知っているのだから。





「どうしたの、春樹」

「・・・いやなんでも」

「ないなんて言わないでよ」

「・・・・・・・・・・・・」




心配そう、と言うよりも怒った調子の彼女が顔を覗き込んでくる。

仕方なしに今しがた考えたことを告げると、悲しそうな顔に変わる。

そうなると判っていたから言いたくはなかったのに。



「その時の記憶、多分あるよ」

「覚えているのか?」

「うん、おかしいよね。私だって死んじゃったはずなのに」

「・・・・俺のせい、でか?」

「違うよ」



きっぱりと否定した後、加えて彼女は言った。



「聞きたい?」



きっと惨劇の一つなのだろう。

聞くか聞かないかは、俺の自由。


判断は俺にゆだねられているのだ。

彼女もそうあるべきだと。

無理に傷口をえぐる必要なんてないのだから。




でも俺は、聞きたい。




彼女の背負ってきた重い何かを。

その一欠片だけでもいい。

そう、今は。



「聞かせてくれ。ゆっくりでもいい。時間は沢山あるのだから」



そう言うと、眉根を寄せている彼女は口だけで笑った。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ