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きになるはなし  作者: 雲雀 蓮
本当の××××
39/70

三十八本目

**



さぁ、ラスボス戦だ。

ゲームなら誰かがそう言ってくれるのに。


現実にはラスボスなんていないし、そんなこと言ってくれる仲間もいない。


別にそれが気に入らないわけじゃないけれど、なんだか物寂しい。

世界観が違うって言うのは、こういうことなんだろうか。

現実とゲームは違う。

そう遠まわしに誰かに言われているかのようだ。


ゲームはいくらでもやり直せる。

セーブすれば好きなところから、やろうと思えば最初から。

でも現実はセーブもなければ、ロードもない。

時間を止めることもできない。

難易度はいつだってハード以上。

イージーモードは存在しない。

ノーマルモードすらないのは、ゲームならクソゲーだと思う。


なんて。

人生で一回しかやったことのないゲーム。

外の世界にはいっぱいゲームも本もあるって、誰かが言っていた。


僕ももっとゲームやりたい、そう返したらその人は次の日村からいなくなっていた。

引っ越したとお父さんは言っていたけれど、違う。

僕のわがままを叶えるために村の外へ向かって、森の中に住んでいる獣に襲われたんだ。

あの人がもうこの世にいない。

神様の近くへ行ったのだ。



この村はどこかおかしい。

その原因がはっきりしているのならば、解決しなければならない。



”贄”である桜花さんが、そう言っていた。


でも僕はそれは違うって思う。

この村はおかしくなんてない。

神様が傍に居てくれているんだ。

おかしくなんてなるはずない。

おかしいと感じているみんながおかしいんだよ。

お父さんは悪くない。

人を殺そうとなんてするはずない。



そうか。

桜花さんは僕らのために生贄となるのが嫌なんだ。

だから、あんなことを言うんだ。

確証もない、嘘を吐いてまで人に尽くすのが嫌なんだ。

そうじゃなきゃ、おかしい。

家族の僕のいる前であんなこと言う人、ありえない。



「・・・・こっちみんな、ばか」



ほら。

彼女は僕が嫌いなんだ。

初めて会った時だって、酷いことを言われた。

なんで妹のことを知っていたのか知らないけれど。

でもあんなこと言った人は今まで会ったことない。

みんな僕を庇って、慰めてくれた。

・・・彼女は、とても、酷い人だ。



信じてはいけない。

彼女は僕を殺そうとするかもしれない。

僕のお父さんを殺すかもしれない。

気を許してはいけない。

彼女が後ろに立ったらすぐさま足を止めよう。

後ろから刺されてしまうかもしれない。

いやもっと痛い目に遭わされるかもしれない。



「僕のことを君が見てきたから返しただけだろう」



必然と声が低くなる。

彼女とは仲良くなれそうにない。

いや、なってはいけない。


僕が大切に思っているものすべてを壊しかねない存在だ。

僕の世界の闖入者なのだ。



僕は、僕の世界を守らなくては。







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