三十一本目
沢山沢山、血が流れていきました。
”巫女”が着ていた服が徐々に赤く染まっていきます。
男は人の死に対してか、はたまた人間の感情に対しての恐怖に負けたのか、
少女を置いてどこかへ走っていきました。
意識の遠のいていく中、”巫女”は力を振るいました。
そうです。
自身の意識をもぎ取ろうとしていた力です。
××××を、二文字変えた”災厄”と名を変えて村人に認識させました。
村人の命に関わるようなものを取らないように”災厄”に制限を設けました。
自分の存在を人間以外のものに変え、人間よりも長い時間村に留まれるようにしました。
彼女なりに、村を守ろうとしたのです。
本当は”災厄”を壊せたらよかったのですが、すでに”災厄”膨大な力を蓄えていました。
元から村に存在していた大きな力を超えるほどです。
”巫女”には”災厄”が破壊できませんでした。
代わりに、”災厄”を封印することにしました。
きちんと施すには自分以外の手助けが必要でした。
その時偶然村に泊まっていた旅人がそう言う事に詳しく助けてもらいました。
その旅人が何か証が必要だと言いました。
封印を施すにあたり、その対象に関連する何かが必要だったのです。
”巫女”は迷いなく、自分の付けていた日記を取り出しました。
そこには”贄”のこと、男のこと、”災厄”のこと、彼女の見てきた村の全てがありました。
旅人は異次元に”災厄”を移動させ、その出入口を日記で塞ぎました。
”巫女”はそれを見届けてから、旅人にお礼を言いました。
しかし、旅人にはそれが聞こえませんでした。
”巫女”はすでに人でなくなっていたからです。
旅人はそれでもわかっていました。
彼女の願いは果たされたこと、彼女を救うことができたことを。
満足した顔で旅人は村から立ち去りました。
それをほんの少し寂しそうに見送った少女は自分のことを”悪魔”としました。
”災厄”のような手広く害を齎さずにいるためです。
たった一人の、人間に対しての敵であるために”悪魔”であることにしたのです。
たった一人、男の敵であるために。)




