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きになるはなし  作者: 雲雀 蓮
何度目かの始まり
3/70

二本目

**


「これは皆さんもよく知っているおとぎ話ですね」



今日も元気に教卓で授業をしている先生。

朝から道徳の授業だなんてついていない。


この先生は化粧がきついから。

ふんだんにまき散らされている香水の香りもプラスされている。

双方から異臭がして、朝から吐き気を催す人が続出する。


そうならないように僕はそっと窓を開けた。


新鮮な空気が僕の周りに広がっていく。

今日はまだ誰も吐いていない。

開始十分だから当然ではある。


今先生が話しているのは、「木に成る話」だ。

大体僕みたいな子供は「きになるはなし」と冗談ぽく話す。

(気になるというのと木に成るを掛けているらしい)

この話は僕が気に入っているものだ。

僕はどちらかといえば、神様や奇跡というものを信じているから。



「この話があったからこそ、この村では墓に一本の苗木を植える習慣があるのです」


「埋葬してすぐに植えることで死者の魂を木に移し替え、」


「その植えられた木が天に届けば、その人は天国へ行けるのです」



空に神様がいて、空に天国がある。

そういう前提が前の授業でされている。

だからみんなぼんやりと宙を見ている。

つまり、授業は聞いていない。

真面目に聞いているのは僕だけだ。


僕は村長の息子だから。

いつかお父さんの後を継いで、人を纏めないといけない。

そのための教養を今からしっかりしていかないと。

眠くて落ちていく瞼を必死に開きっぱなしにする。

朝はとても苦手だ。



「植えられた木の種類は予め聞いていれば問題ありません」


「しかし、言う間もなく逝ってしまった方のものは、」


「その人にあう木を選ぶことが生きている村民の義務です」



どや顔で言い切る、いい年をした女性教師。

彼女は一体何がよくて、話を碌に聞かない子供に話しているのだろうか。

単純な興味で一瞬思考がずれた。


早く終わらないかな。

次は算数の授業。

そろばんを教えてくれる先生が来てくれるんだ。

その先生は全然おしゃれしてないけれど、きれいな人なんだよ。




徐々に意識が薄れていって。

僕は自分が寝ていることに気付かなかった。




楽しみにしていた算数の授業も、そのあとのも目を覚まさなかったらしい。

ようやく目を覚ました時、教室に誰もいなかった。




時計の針が戻っていたのは気づかなかった。






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