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きになるはなし  作者: 雲雀 蓮
壊された世界
29/70

二十八本目

********



これは昔々の村での出来事です。


(双子の女の子が生まれました。



その村では双子の女の子は大きな力を背負って生まれてくると言われており、

特に片方に力が偏っているとも言われていました。

多く力を持っている方を“巫女”とし、そうでない方を“贄”としてきました。


しかし、力を持っているかどうかを見分けるのは困難でした。

“巫女”とされる方が何か力を発揮しなければ、先に生まれた方を“贄”としました。


“巫女”は豪華なお屋敷で、“贄”は質素な小屋ですくすくと大きく育ちました。

“巫女”は“贄”のために入れ替わってお菓子をあげたり、

大きな寝具で寝かせてあげたりと献身的でありました。



二人はとても仲が良く、互いに支えあって生きていました。)




ある時、男の人が村に移り住みました。



(全身真っ黒なその人に、“贄”は一目会った時から慕うようになりました。

何度か男と会ううちに、“巫女”には渡したくないと思うようになりました。


そのことを“巫女”には話さずにいました。

それは彼女にとって最初の嘘でした。


ですが、“巫女”はそれを見抜いてしまいました。

“贄”を小屋に閉じ込めて二度と自力で出られないようにしました。

そして“贄”のふりをして男に会いました。


毎日毎日男に会って話したことを、”贄”に報告しました。

すると”贄”は”巫女”に反抗し。お社から逃げようとしました。

”巫女”は逃げる”贄”を捕まえて、殺してしまいました。

こちらもどうしても譲りたくないほどに男に好意を抱いてしまったからです。)



その男には大凡感情というものがありませんでした。

彼にとって未知のものである感情を知りために研究を続けていました。

研究だけに尽力したいがために村に来たと言います。

男には自分の家に閉じこもって何日も何日も出てこないでいることが多くありました。


(男は”贄”と”巫女”をきっちり見分けていました。

しかし彼が生涯そのことを告げませんでした。


彼は、表情がくるくる変わる“贄”や”巫女”に興味が湧いていただけでした。

“巫女”はそれを知って、とある提案をしました。

男はやはり感情のないままそれを許諾しました。)



彼は研究の実験台として村人を使うようになりました。

村の人は年に一人ずつ彼の家に呼ばれ、返される時までにおかしくなりました。

呼んでも応じない人は無理矢理連れていかれました。



ある人は声が出なくなり、

ある人は目が見えなくなり、

ある人は歩けなくなりました。



村人は彼を村から追い出すか、殺してしまおうとしました。

しかしそれは叶いませんでした。



なぜならば、彼には人智の及ばない力を以て自身を守っていたのです。

他の村人とは違い男は何一つおかしくならなかったことも大きかったのでしょう。



団結した村人よりも頭の良い彼は、村人を総括する存在となりました。






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