2/70
一本目
災厄はいつだって、人間の住む場所にある。
人が心から願ったとき災厄は顕現する。
災厄は顕現に力を貸した人間の周囲に手を伸ばす。
願った事柄を人智を超えた力を以て叶えていく。
もしも、その人間が世界の崩壊を望めば、
次々と規模を広げて、全てを破壊し尽くす。
もしも、その人間が他者の愛を望めば、
全ての人間の心を掌握していくだろう。
だが、決して忘れてはいけない。
この”災厄”は神ではない。
必ず代償を求め、人間としての何かしらを奪っていく。
どうか、忘れないでほしい。
真に求めたものは自分で手に入れるべきであることを。
私のような愚行は、もう誰もしてはいけないのだということを。