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 (狼くんさいど。)



 狼は赤ずきんちゃんのお婆ちゃんを食べ、そして赤ずきんちゃんもついでに食べる。この物語はそういうストーリ設定。だから狼の俺は、赤ずきんちゃんのお婆ちゃんと赤ずきんちゃんを食べなければいけないのだ。これは、宿命。天にいる神様が決めたこと。だから俺は、人間を食べなければ、食べなけ、れば……。

「うぐぅ……」

 無理だよ。そんなの無理に決まってんじゃん、なに神様達考えちゃってんの? え? この俺に……ううん、この僕に、人を食べるなんて、そんな罪大きこと臆病で弱虫なこの僕に出来る筈ないじゃん。いつも手作り人形抱いて寝てるような奴なんだよ? 芋虫にさえ恐怖を抱くような奴だよ? そんな弱虫に人様を傷つけられる訳ないじゃん! ……なんて本心暴露しても神様達はこっち向いてくれないので、涙目ながらも木の陰に隠れて赤ずきんちゃんを待ってみることにした。すると数分後、来た。ライフルを持ってサングラス掛けた赤ずきんちゃんらしき人物が!

 僕はそれを見た直後、下手して出たら逆にこっちが食べられると察した。勿論それは性的な意味ではなく普通の意味で。

 恐怖で冷や汗が頬に伝わる。やっぱり帰って仕事放棄しよう。そうだよ。放棄しちゃえばいいんだ。さあ、お家へ帰ろう。そう思っ直後、酷く凍った冷たい声が耳を打った。

「そこにいるんでしょう? 狼さん」

 どきゅううん! 心臓の音が体内から漏れる。やばいやばいやばい狼くん大ピンチ。その場から動ける事無く只只、長い爪が木に食い込んだ。

「出ないんだったら、此方から向かって滅多撃ちにするわよ。気付いたら貴方の身体蜂の巣になってて、貴方の魂は霊界逝きよ。さあ、どうする? 自ら姿を露にして死ぬか、私に見つかって死ぬか。因みに自ら姿を露にして死ぬを選んでくれたら、死体土に埋めてあげるよ」

 もう駄目だ。俺、おわた。

 人生が終了する何かが聞こえた。自分でも解らないけど、何か、聞こえた。

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