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*練習短編集*  作者: 凹 露(クボ ロシア)
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甘味処のお客さん

 細い道をくぐり抜けると、静かな隠れ名店の甘味処があった。甘味処には、毎日いろんなお客さんがくる。


 今日も、何やら事情がありそうな、20歳くらいの女性のお客さんが来店した。


 片方は黄色いワンピースを着ており、とても可愛い。

もう一人は、髪を1つにまとめパーカーにジーパン、カッコイイ方だが何処かで見たことある気がしている。



 私は、来てくださったお客さんの顔をしっかり覚えていられる方なのだが、そろそろ歳なのかしら?



 カッコイイ女性の目は真っ赤に腫れ上がり、可愛い女性が背中をさすっていた。



 席へ案内すると、すぐメニューを見ずに「ヨーグルトパフェ2つ下さい」と、可愛い女性が注文した。



 ヨーグルトパフェは、この甘味処で一番人気の商品。

 ヨーグルト味のアイスを使っていて、白しかない見た目が特徴的だ。



 ヨーグルトパフェを持っていくと、カッコイイ女性はもっと泣いてしまった。


「泣いてばかりじゃダメでしょ?」


と可愛い女性の方が言うと小さくうなづいていた。



 私は、目が痛々しいカッコイイ女性のお客さんに温かいおしぼりを渡した。



「目に少しの間置いておくといいですよ」


「あっ、ありがとうございます......」



 彼女は、目におしぼりを置いてからこう話してきた。



「お店の方、あの、ありがとうございます。このお店は、弟のお気に入りのお店でした。1週間に3回は来ていたらしくて、毎日ここのヨーグルトパフェは美味しいと嬉しそうに話していたんです」



 私はここまで、お話を聞いてやっと思い出した。



 この甘味処に、週最低でも3回は来る高校生くらいのスポーツマンの方がいた。


 毎回頼むのはヨーグルトパフェで、彼はあまりヨーグルトが好きではないと言っていたが、ここのヨーグルト風味はとても気にっていたようだった。



「ヨーグルトは食べ物じゃない、なんていっていたのが嘘のようでした。1週間前にも食べにいくんだと嬉しそうに。なのに、交通事故で......」



 息をつまらせながら、一つ一つ言葉を紡いで、辛そうだった。

 近くにある椅子に座り、彼女の背中をさすった。


 可愛い女性は「早く食べよ!! これアイス乗ってるから溶けちゃうよ!」とカッコイイ女性に声をかけた。



 カッコイイ女性が少し落ち着いて、食べ始めると「バカ」と呟き出した。




 2人はヨーグルトパフェを食べながら、弟さんのお話をしていた。





 会計の時、「お金は要らないよ」と言ってから少し大きめの箱を渡した。



「なんですか? これ?」


と可愛い女性がうーんと唸る。



「これは弟さんのお気に入りの1つ、豆大福です。宜しかったら、こ家族の方と食べてみて下さい」



 弟さんは、ヨーグルトパフェを食べ始める前は豆大福をよく食べていた。

 口の周りが粉だらけでも気にせずに、かぶりついていた。



「申し訳ないです!! お金払います!」


 カッコイイ女性は、申し訳なさそうにそういった。



「いえ、これは気持ちです。お姉さんのあなたが元気になって貰えるように、弟さんがまた食べに来て貰えるように。

 そんな些細な気持ちですが、受け取って頂けませんか?」



 そういうと少し考えるような素振りをしてから、1000円を置いて豆大福を受け取った。



「これは、私からの気持ち。優しくしてくれてありがとうございます。豆大福、家族と食べて元気だします!」



 可愛い女性はクスリと笑い、カッコイイ女性も少し笑った。



 可愛い女性は「私はなんにも落ち込んでないので」と言いながら3000円置いて、甘味処を後にした。






 数日後、あの2人の女性が甘味処にやってきた。



 カッコイイ女性は、完全に吹っ切れた訳ではなさそうだったが笑顔が素敵だった。



「豆大福、美味しかったです。あの時は本当にありがとうございます!!」




 少しでも、役に立てたのなら、私は幸せだ。




「元気になっていただけて、こちらこそ、ありがとうございます!」



 さて、今日も頑張りましょう!




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